温室効果ガス削減努力

2050年に向けた温室効果ガス削減努力


2020年10月26日、菅首相は就任後初となる所信表明演説にて「我が国における温室効果ガスの排出を2050年には実質ゼロにする」と宣言しました。この表明からは、地球温暖化対策に関する国際ルール「パリ協定」の目標達成に向けて日本が具体的に動き始めたことを意味しています。
とはいえ、同2020年12月に環境省が発表したデータによると、2019年度に日本国内にて排出された温室効果ガスの総排出量は12億1,300万トンとなっており、排出量実質ゼロまでの道のりはまだまだ長いのが現状です。2050年までに目標達成するためには、企業による温室効果ガス削減に向けた取り組みが必要不可欠だと言えるでしょう。
そして今やこの課題は大企業に限らず、中小企業にとっても取り組むべきものとなっています。そこでこの項目では、企業が温室効果ガス削減に取り組む上で知っておくべき用語を紹介します。

カーボンオフセットとは

「カーボンオフセット」とは、「経済活動や日常生活を営む上ではどうしても避けられない温室効果ガスの排出を極力減らし、その上で排出された温室効果ガスに関しては、森林保護やクリーンエネルギー事業などを通してオフセット(相殺)していく」という考え方の総称です。
カーボンオフセットに基づいてクリーンエネルギー事業等を行う場合、その企業は排出権を購入する必要があるため、カーボンオフセットには団体の自主的な削減努力を促す効果があると期待されています。主にイギリスを始めとしたヨーロッパ諸国、アメリカ、オーストラリア等での取り組みが活発となっており、日本では2008年に環境省が「我が国におけるカーボンオフセットのあり方について」という指針を公表して以降、積極的に取り組む企業や団体が増えています。
2011年4月には、従来のカーボンオフセットからさらに一歩前へ進んだ「カーボンニュートラル(後述)」という考え方が海外で拡がりつつあるという点を踏まえ、「カーボンニュートラル等によるオフセット活性化検討会」が設置されます。この会合では、日本におけるカーボンニュートラルへの取り組み方、そしてカーボンオフセットの一層の取り組み活性化に向けた対策等が検討されました。同2011年9月には「カーボンニュートラル認証制度」が立ち上げられ、カーボンオフセットに関しても「我が国におけるカーボンオフセットの取組活性化について」の中間とりまとめが公表され、取り組み全体のさらなる促進に向けたアップデートが進められました。そして2012年5月には、カーボンニュートラルとカーボンオフセットそれぞれの認証制度を1つにまとめた、「カーボンオフセット制度」が施行されます。2017年4月以降、この制度は環境省の公開データに基づきながら民間主導にて実施されています。
カーボンオフセットに向けた積極的な取り組みが行われる一方で、過去イギリスにおいて「オフセットするための取り組みが具体的な温室効果ガス削減に繋がってないのではないか」という指摘の声が上がったこともあり、これを受けて日本ではより信頼性の高いカーボンオフセットを普及するべく、2013年には「カーボンオフセットフォーラム(J-COF)」が設立されています。設立以降、J-COFはカーボンオフセットに関する情報提供及び収集、そして相談支援等を行っています。
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カーボンニュートラルとは

「カーボンニュートラル(炭素中立)」とは、何らかの製品を生産する、日常生活を送る等の活動を行う上で排出される温室効果ガスの量と、クリーンエネルギー事業等によって吸収される温室効果ガスの量がプラスマイナスゼロになるような社会の在り方を示す概念です。この言葉は、主に以下の2つの視点から語られます。
1.エネルギー分野におけるカーボンニュートラル
植物由来のバイオマス燃料などに関し、「燃料を燃やす際にはCO2が出るが、植物が育っていく過程で光合成により温室効果ガスを吸収していくため、実質的には温室効果ガスの排出量はプラスマイナスゼロになるだろう」という考え。
2.社会活動におけるカーボンニュートラル
「企業や各家庭からどうしても排出されてしまう温室効果ガスを排出権の購入や植林等によって相殺し、プラスマイナスゼロの状態にしていく」という考え。カーボンオフセットの概念に近い。
ちなみに排出される量よりも吸収される量が上回った状態は、「カーボンポジティブ」または「カーボンネガティブ」と呼ばれ、温室効果ガスの排出量が固定化されることは「カーボンロックイン」と呼ばれます。
「カーボンニュートラル」という言葉が世界的に知られるようになったのは、2007年頃からです。この年、当時ノルウェーの首相を務めていたイェンス・ストルテンベルク氏によって「2050年までに国家レベルでのカーボンニュートラルの実現を目指す」といった政策目標が発表されたことにより、多くの国においてカーボンニュートラルが注目されるようになりました。国家レベルでこのような政策が打ち出されたのは、当時としては異例の出来事でした。その後、当時コスタリカの首相を務めていたオスカル・アリアス大統領氏も、2021年までの目標達成を目指したカーボンニュートラル宣言を同2017年に行っています。
そして2017年にパリで開催された「気候変動サミット(One Planet Summit)」では、マーシャル諸島とニュージーランドが先導するかたちで「カーボンニュートラル宣言」が提唱されました。この宣言では、参加資格として「2050年までに国の温室効果ガス排出量を実質ゼロに抑えることを政策公約にすること」を掲げており、署名した国は「カーボンニュートラル連合」の一員となります。2019年10月時点で、日本、韓国、アメリカ、ヨーロッパ各国、北欧各国等を含む全29ヶ国がこの連合に参加しています。
企業とカーボンニュートラル
もし企業がカーボンニュートラルを目指す場合には、以下のような取り組みを行う必要があります。
・輸送の削減(排気ガスを出さないため)
・食品ロス等の廃棄物削減
・太陽光発電、風力発電等の再生可能エネルギー導入
・植林または森林再生活動 等
上記のような取り組みは多くの世界的な大手企業も積極的に行っており、中には既にカーボンニュートラル実現に成功している企業あります。具体的な取り組みを行っている有名企業は、以下になります。
・マイクロソフト…2012年にカーボンニュートラルを達成。さらに「創業以来排出してきたすべての温室効果ガスを2050年までに除去する」という目標を打ち出している。
・Google:2007年からカーボンニュートラルに継続して取り組む中で、近年では機械学習機能を応用し、エアコンシステムによるエネルギー使用量を30%削減するといった新しい取り組みも行っている。
・Amazon…「2030年までに商品輸送の50%をカーボンニュートラルにする」という目標を発表している。
このように、既にカーボンニュートラルの実現に成功した企業の中には、さらにワンランク上のカーボンポジティブの実現(カーボンネガティブ)を目指す企業も出てきています。
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グリーンチケットとは

「グリーンチケット(グリーン電力証書)」とは、太陽光や風力といった再エネ発電システムによって得られた電気に含まれる「環境付加価値(有害物質排出量の少ない電力であること等に対する価値)」を市場において取引可能な証書にしたもの、もしくはその制度自体のことです。「グリーン電力制度」「グリーン証書取引制度」等と呼ばれる場合もあります。
グリーンチケットを購入することで、消費電力総量のうち証書購入分の電力量は再エネを消費したものと見なされます。つまり、たとえ自前の再エネ設備を設置することが難しい企業でも、グリーンチケットを所持していればそれだけでカーボンオフセット・カーボンニュートラルの達成及び再エネ普及への貢献が可能となり、ゆくゆくは企業価値の創出やイメージアップにも繋げることができます。そのため、「再エネ設備の導入はしたいけど中々難しい」という場合は、まずはグリーンチケットの購入から検討されることをお勧めします。
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