それ、善意の押し付けになってない?「ありがた迷惑な支援活動」をしないための心掛け

SDGs

日本では東日本大震災の発生以降、「自然災害が発生したら被災地には率先して物資支援しよう」「現地に行ってボランティア活動をしよう」という機運が高まっています。
また被災地に限らず、途上国などにおいても行われる支援活動は、一般的には素晴らしいものだとされています。

しかし実はその支援によって、被災地や途上国の負担がかえって大きくなる場合があることは意外と知られていません。
今回は、そんな被災地や途上国に負担を与えかねない「ありがた迷惑な支援活動」とは一体どんなものか、そして「実際に役立つ支援活動とは何か」について解説していきます。

ありがた迷惑な支援活動の例

無計画のまま現地に赴く

被災地や途上国においては、時に物資だけでなくマンパワー(労働力)が必要となります。
被災地におけるがれきの撤去、途上国における自立支援のための技術レクチャーなどは、人が直接出向かなければ実現できないことです。
しかし、だからと言ってテレビなどで被災地や途上国の現状を見て、「困っている人を助けたい!」と無計画に現地に赴くことは、かえって現地に迷惑をかける場合があります。

たとえば東日本大震災の発生時には、被災地以外の県から多くのボランティアやマスコミが訪れましたが、彼らの多くは自分たちの食糧や寝床を確保していませんでした。
その結果、本来ならば避難生活を送っている被災者の方に回すべき食糧や寝床を奪ってしまう形になりました。
どうしても現地で支援活動をしたいと言うなら、予め自分の食糧や寝床を(もちろん被災者の迷惑にならない形で)確保してから行くべきです。

また、東南アジアやアフリカなどの途上国には、日本に比べて圧倒的に衛生環境が悪い地域が多く、水道水を少し口に含んだだけでも酷い下痢になる場合があります。
路上で「ミネラルウォーター」と銘打って販売されているペットボトルの水も、実は中身は水道水に入れ替えられており、それでお腹を壊してしまったというケースもあります。
このような途上国の事情を調べずに現地へ赴くと、結局体調を崩し、現地団体に迷惑をかけてしまう可能性があります。

もちろん体調を崩すかどうかは、一人一人の体質や体調にもよります。
しかし、飲み水だけでなくシャワーやうがいをする時もミネラルウォーターを使う、そのミネラルウォーターを入手する場所もしっかり調べておくなど、出来る限り体調を崩さないための事前対策をとることは、誰にとっても必要だと言えるでしょう。

ゴミ同然の物資を寄付する

断捨離をしている時、「この要らなくなった服やモノ、捨てるのはもったいないしどこかに寄付できないかな?」と思ったことのある方は多いのではないでしょうか。
実際、日本には「要らなくなったモノを途上国に届けます」といった活動をしているNPO法人もあります。

しかし、実際途上国に届けられるモノの中には、残念ながら到底着られるとは思えないほど汚れている衣類や、ゴミ同然のがらくたも多く含まれています。
また東日本大震災や熊本地震の発生時にも、ぼろぼろで毛玉だらけの毛布や、見るからに洗濯していない下着などが救援物資として送られてきたそうです。

いくら途上国や被災地にいて物資に困っているとはいえ、このようなモノが大量に送られてきたら、現地の人々が尊厳を傷つけられたと感じてもおかしくありません。
「自分が要らないから寄付しよう」と思っているモノは、果たして受け取った人が喜ぶモノなのか、しっかり想像することが大切です。

善意を押し付ける

災害が発生すると、「被災した人の心に寄り添いたい」「元気を送りたい」という気持ちから、千羽鶴や寄せ書きを被災地に送る人がいます。
しかし、実際に東日本大震災で被災した人によると、千羽鶴や寄せ書きは、前述した無計画なボランティアやゴミ同然の物資に並んで「要らなかった支援」だったと言われています。

心を込めた千羽鶴や寄せ書きが「要らなかった」「迷惑だった」と言われることは、送った側からするとショックなことかもしれません。
しかし実際のところ、避難所においては被災者が過ごすスペースを確保することが最優先事項であり、千羽鶴や寄せ書きを飾るスペースはなかったため、結局燃やしてしまったというケースが多かったそうです。

「善意の押し付け」とも言える行為は、これだけではありません。
東日本大震災の発生時、避難所にはさまざまなNPO法人が訪れ、「あなたの心のケアをします」と呼びかけたそうです。
しかし、ただでさえひどく疲れている被災者達にとって、その呼びかけはかえって心の負担となりました。
福島の避難所には、「心のケアお断り」という張り紙がされたほどです。

「被災した人の心を癒したい」「元気づけたい」と思うことは決して悪いことではありません。
しかし、そういった思いは時として自己満足となり得る場合があります。
その自己満足のために、被災した方々が望んでいない善意を押し付けるべきではありません。

過剰な支援で現地の自立を妨げる

本来、支援とは苦境に立たされている地域の人々を手助けし、困窮した状態からの自立をサポートすることです。
しかし、近年では主に途上国などの貧困地域において、過剰な支援によって自立が難しくなっている点が指摘されています。
貧困地域の人々が一方的に物資援助されることに慣れてしまうと、かえって自立を妨げてしまう可能性があるのです。

また、過剰な支援は、元々その地域に根付いていた産業の衰退を招く場合もあります。
たとえば、サハラ以南アフリカでは元々地場の衣類産業がさかんでしたが、世界中から寄付される衣類が古着市場で安価に転売されるようなった結果、いまや地場の衣類産業は大変厳しい状況に追い込まれています。
現在も廃業が続出しており、このままいくと地場産業全体が成長努力をしなくなる可能性があると懸念されています。

物資支援をする場合は「送って終わり」ではなく、支援先の地域への持続的な支援になり得るかどうかも考えるべきかもしれません。

実際に役に立つ支援活動の例

今回は「ありがた迷惑な支援活動」というテーマで実例を紹介しているため、 「寄付やボランティアって迷惑なんだ…」と思ってしまった方もいるかもしれませんが、もちろん役に立つ支援もたくさんあります。
ここでは、「実際に役に立った」「本当に助かった」と言われている支援活動の一例を紹介していきます。

水や衛生用品の物資支援

災害発生時は多くの人が避難所で過ごすことになりますが、避難所における大きな問題の一つに「衛生問題」があります。
お風呂にもトイレにも思うように行けない生活は、想像以上にストレスが溜まります。
そのため熊本地震の発生時は、災害復興支援物資として、水の他におむつ、生理用ナプキン、ティッシュペーパー、トイレットペーパー、ウェットティッシュ、おしりふきなどの支援が呼びかけられました。
その結果、全国から多くの衛生用品が避難所に届けられました。

途上国へのランドセルや文房具などの寄贈

ランドセルは日本特有のモノなので、一見役に立たなそうに感じるかもしれません。
しかし、途上国にランドセルを寄付することは、現地の教育の場や機会づくりを促す効果があります。
たとえば国際協力NGOのジョイセフは、2004年から日本の子どもたちが使い終えたランドセルをアフガニスタンに送る「思い出のランドセルギフト」プロジェクトを行っています。

ジョイセフによると、アフガニスタンでは女の子の2人に1人が学校に通えない状況が長年続いていましたが、このプロジェクト以降ランドセルがきっかけとなって、多くの女の子が学校へ通えるようになったそうです。
また文房具も、教育の場ですぐに使えるため重宝されています。

医療機関や復興工事への資金援助

使い道の決まった物資よりも、さまざまな使い道がある資金を送った方が良い場合もあります。
資金があれば、復興工事や医療設備の拡大など、支援の可能性を大きく広げることができます。
「被災地または途上国の人々を支援したいけれど、現地の人々が今何を求めているかが分からない」という場合は、信頼できる団体や機関を調べ、そこを通して資金援助を行うと良いでしょう。

まとめ

どのような支援を行うにしても、大切なのは被災地や途上国にいる「現地の人々」の立場になって考えることです。
「自分だったらどうして欲しいだろうか」「何をされたら嫌だろうか」と考えることができれば、自然と本当に役立つ支援活動を行うことができるのではないでしょうか。

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