政府が「節電」に続き「節ガス」の要請を検討?その理由と効果的な節ガス方法とは

節電・省エネ

「夏の電力不足を回避せよ!各電力会社による節電プログラムを一挙紹介」「猛暑と電力不足を乗り切ろう!夏の節電対策BEST10」でも解説したように、今日本はウクライナ侵攻や3月に福島県沖で起きた地震などの影響により、深刻な電力不足の危機に直面しています。
なんとか電力不足を回避すべく、各家庭や企業が節電に取り組んでいますが、そんな中政府は7月11日、都市ガスの節約を呼びかける「節ガス要請制度」の導入に向けた準備を開始したことを発表しました。
節ガスの要請について議論されるのは、日本ではこれが初となります。

「節電だけでも大変なのに、節ガスまでしなきゃいけないなんて!」と叫びたくなってしまうようなニュースですが、一体なぜ政府は節ガス要請の検討をし始めたのでしょうか。
今回はその理由と、無理のない範囲で実践できる効果的な節ガス方法について解説します。

政府が節ガス要請を検討する理由

政府が節ガス要請を検討する最も大きな理由は、「ロシアからのLNG輸入の不透明化」です。
現在、日本が輸入するLNGの約9%は、ロシアのサハリン州で運営されている石油・天然ガス開発事業「サハリン2」で生産されたものです。
サハリン2で生産される年間1000万トンのLNGのうち、600万トンが日本に渡っているのが現状です。

サハリン2の運営会社であるサハリンエナジーには、三井物産や三菱商事といった大手商社が出資をしており、これによって日本はサハリン2の権益を維持しています。
ちなみに現在のサハリン2出資比率は、ロシアの国営企業ガスプロムが50%、イギリスのエネルギー大手シェルが27.5%、三井物産が12.5%、三菱商事が10%となっています。
しかし、このうちシェルは2月24日にロシアがウクライナ侵攻を開始したことを受け、2月28日の時点でサハリン2からの段階的な撤退を表明しています。

そして6月30日、ロシアのプーチン大統領はサハリン2の運営をロシア側が新たに新設した会社に移管し、現在の出資会社の資産をこの新設会社に無償譲渡するよう命じる大統領令に署名しました。
大統領令によると、ガスプロムの権益は維持される一方で、他の出資会社はロシア政府に対して1ヵ月以内に改めて権益承認の申請をする必要があるとのことです。
ロシア政府のこの動きは、対ロシア制裁を強める日本やイギリスへの対抗措置であり、ガスプロム以外の出資会社を撤退に追い込むことが狙いだと見られています。

これに対し、前述したように英シェルは侵攻直後の時点で撤退表明を出していますが、一方で日本政府や三井物産などは今なお撤退しない方針を示しています。
国内エネルギー資源に乏しく、中東やロシアにエネルギー依存せざるを得ない日本がサハリン2の権益を手放すことは、現実問題として難しいと考えられています。
そのため、日本政府としてはなんとか権益を維持したいところですが、ロシア側の判断によって撤退を余儀なくされる可能性はゼロではありません。

このような現状から、日本政府はサハリン2からのLNG輸入が途絶える可能性を踏まえ、節ガス要請の制度設計を進めるに至ったと考えられています。

節ガス要請の発令対象は?

政府によると、実際に節ガス要請制度が導入された場合、まずは家庭や企業に向けて、数値目標のない都市ガスの使用抑制を呼びかけるとしています。
それでもガス需給のひっ迫が改善しなければ、次は数値目標を設定した要請に踏み切り、状況がさらに深刻化した場合は、大手企業に対しガスの使用制限令を出せるようにするとのことです。
なお、医療や消防といった重要なインフラに関しては、制限令の対象外とする方向です。

今すぐ実践可能!効果的な節ガス方法10選

いざ政府が節ガス要請を出した時、「節ガスって言われても何をすれば良いのか分からない!」とならないために、ここからは今すぐにでも実践可能な節ガス方法を紹介していきます。

お風呂回り編

浴槽いっぱいにお湯を貯めない

お風呂を沸かす時、多くの人は浴槽の7~8分目あたりまでお湯を貯めるのではないでしょうか。
しかし、そこに人が入ると浴槽内の体積が増えるため、水位が上がって結局お湯は溢れてしまいます。
つまり、溢れた分のお湯を沸かしたガス代は無駄になってしまうのです。

体積が増えることを考えると浴槽に貯めるお湯は5~6分目程度で十分なので、浴槽いっぱいにお湯を貯めている方は、節ガスのためにも次からは量を調節することをお勧めします。

お風呂は沸かしたらなるべくすぐに入る

お風呂が沸いても、「今すぐに入るのはなんか面倒くさい…」と、すぐには入らずにダラダラしてしまうことってありますよね。
しかし、そうしてダラダラした後にお風呂に入ると、大抵の場合お湯が冷めているため、結局追い炊きをする羽目になり、必要以上のガス代を消費することになってしまいます。

疲れている時はなかなかお風呂に入る気力も湧きませんが、ガス代を節約するためにも、沸かしたらすぐに入る習慣をつけたいものですね。

シャワーを出しっぱなしにしない

「お風呂に入る習慣がなく、基本的にはシャワーのみ」という場合、一見ガス代の消費が少ないように思えますが、実はここにも落とし穴があります。

東京ガスによると、一般的な都市ガスを使用して40℃のシャワーを1分間浴びた場合、約6円の料金が発生すると言われています。
たとえばシャワーを浴びている10分の間、ずっとシャワーを出しっぱなしにしていると約60円かかり、それを365日続けた場合は、21,900円かかるということになります。
1日の料金は大した額ではないように思えても、毎日続くと決して安くはない額になることが分かりますね。

しかし逆に考えれば、シャワーを出す時間を1分短くすれば、年間のシャワー代を2,190円節約できることになります。
「なんとなくシャワーを出しっぱなしにしてしまう」という方は、なるべく使用時間を短くするよう心がけてみてはいかがでしょうか。

キッチン周り編

なべ底からはみ出すほどの強火は使わない

料理をする時、なんとなく強火の方が時短できそうな気がして、ついついガスコンロの火をなべ底からはみ出すほど強めてしまう方もいるかもしれません。

しかし東京ガスによると、たとえば都市ガスで15℃の水を2L沸かす場合、中火だと約2.1円なのに対し、強火だと約2.3円かかることが分かっています。
これも微々たる差に感じますが、毎日積み重なるとそれなりに大きな出費になります。

ガス代を節約するためには、なるべくガスコンロの火がなべ底からはみ出さない中火程度にとどめて料理することをお勧めします。

余熱調理でガスコンロの使用時間を短縮

時間のかかる煮込み料理、ゆで卵、麺類などの場合は、余熱調理を積極的に取り入れるのがオススメです。
たとえばパスタを茹でる場合、沸騰したお湯にパスタを入れてほぐしたら蓋をし、火を止めて通常の茹で時間より1~2分長く放置すれば、丁度良い硬さの麺に茹で上がります。

このような余熱調理を取り入れることで、ガス代を節約できるのはもちろん、火災リスクも下げることができます。

食器を洗う時はお湯の出しっぱなしに注意!

使い終わった食器を洗う時、水よりも油汚れを落としやすいという理由からお湯を使う方は多いのではないでしょうか。
しかし、食器洗い中にずっとお湯を出しっぱなしにすると、シャワー同様ガス代が高くなってしまいます。

なるべくお湯の使用量を抑えるためには、「流し洗い」ではなくシンクや洗い桶を使った「ため洗い」にする、湯温を低めに設定するなどの工夫を取り入れることをお勧めします。

まとめ

今回は、政府が節ガス要請を検討している理由はLNG輸入の不透明化であること、実現した場合はまず家庭や企業に数値目標のない要請があることを解説し、それを踏まえた節電方法もいくつか紹介しました。
節電要請に続き節ガス要請と、ため息が出てしまうようなニュースが続いていますが、なんとか乗り越えていきたいものですね。

参考:「節ガス」制度を検討 経産省、LNG不足に備え 企業に使用制限令も(日経新聞)

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