大気汚染が人体に与える健康被害&大気汚染が新型コロナ感染拡大に及ぼす影響とは?

コロナ

以前、「新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)が世界的に流行したことで人々の経済および産業活動が減少し、それによって一部の国や地域では大気汚染が改善された」といった内容のコラムをアップしましたが、その後「ウィズコロナ」の意識が浸透し徐々に社会の動きが活発になるにつれ、現在では大気汚染濃度も新型コロナ流行以前と同程度に戻りつつあります。
また、一時は順調に下がっているように見えた新型コロナ感染者数も、冬が近づくにつれて再び増加傾向を見せています。

新型コロナに限らず、あらゆるウイルスは冬特有の空気の乾燥や低気温を好み活発化すると言われていますが、そこに大気汚染が加わった場合、新型コロナの感染拡大に一体どのような影響を及ぼすのでしょうか?
今回は大気汚染が人体に与える健康被害などを知った上で、新型コロナと大気汚染の関係、そして両方抑制するための対策などについて一緒に考えていきましょう。

大気汚染物質別・人体に与えるリスク

PM(粒子状物質)

PM(粒子状物質)とは、大気中に浮遊している粒の総称のことです。
オゾンや二酸化炭素など多くの汚染物質はガス状であるのに対し、PMは唯一個体または液体から成っている点が特徴です。

PMには、ディーゼル車が排出するガスに含まれる黒鉛、堆積物から発生する粉塵、工場から排出されるばいじん、自然に発生する土埃、そして花粉など、様々なものが含まれます。 そして大気中のPM濃度が高ければ高いほど、肺ガンや呼吸器系の疾患を引き起こす可能性も高くなると言われています。
実際日本において特にPM濃度が高かった高度経済成長期には、汚染された大気の影響により体調を崩してしまう人が続出しました。

SPM(浮遊粒子状物質)

上記のPMのうち、粒の直径が10マイクロメートル以下のものはSPM(浮遊粒子状物質)と呼ばれています。
SPMは非常に小さい粒子となっているため大気中に浮遊しやすく、知らず知らずのうちに吸収すると、肺や気管などに沈着してしまうおそれがあります。
そのため10マイクロメートル以上のPMに比べると、より花粉症や喘息などのアレルギー疾患を引き起こしやすいと言われています。
近年では世界的に増加する自動車交通量の影響によりSPMも急増し、それによって各都市部の大気汚染も深刻化しているため、各国(特に先進国)においては健康被害を最小限に抑えるための早急な対策が求められています。

PM2.5(微小粒子状物質)

SPMのうち、粒子の直径が2.5マイクロメートル以下の極めて小さいものはPM2.5(微小粒子状物質)と呼ばれています。
PM2.5の大きさは例えるならば髪の毛の30分の1程度となっており、肺の奥深くまで入り込んでしまう危険性が非常に高いため、PMの中でも特に危険視されている存在です。
日本においてもPM2.5を抑制する対策は度々練られており、2009年には「人体の健康を適切に保護するため」として、環境省がPM2.5の環境基準を定めています。
その具体的な基準は、次のようになります。

1年平均値…15μg/m3以下(※)
1日平均値…35μg/m3以下
(環境省HPより引用)

※「μg/m3」…PM2.5の濃度を表す単位で、読み方は「マイクログラム・パー・立方メートル」。大気1立方メートルあたりに含まれるPM2.5の重量を示している。

この数字はあくまでも暫定的な指針となっているため、今後新たなデータや知見などが出された場合には、見直される可能性も十分にあります。
また既に呼吸器系または循環器系の疾患がある場合、幼児あるいは高齢者の場合は、たとえ基準より低い濃度だったとしても健康被害を受ける可能性は否定できないと言われています。

Ox(光化学オキシダント)

Ox(光化学オキシダント)とは、工場から排出される煙に含まれるVOC(揮発性有機化合物)や後述するNOx(窒素酸化物)が紫外線を受け、その影響で光化学反応を起こすことによって発生する物質の総称です。
Oxが大気中に充満する現象のことを「光化学スモッグ」と言い、この光化学スモッグは目の痛みや痒み、頭痛、吐き気、喉のイガイガ感、咳などを引き起こすとして、一時は社会問題にまで発展しました。

そのため、OxにもPM2.5と同様に環境基準が定められており、現在では「1時間あたり0.06ppm以下であること」が基準となっています。
ちなみにppmはOxの濃度を示す単位で、「1PPM=0.0001%」となっています。

1-5.SOx(硫黄酸化物)

SOx(硫黄酸化物)は、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料が燃える際に発生する、二酸化硫黄などを含んだ物質です。
主に工場や火力発電所などから排出される煙に含まれており、大気中に混ざると喘息、気管支炎、酸性雨などを引き起こす原因になるとしてかねてより問題視されてきました。
SOxによる大気汚染が最も悪化したのはやはり高度経済成長期でしたが、その際に国が様々な対策や規制を設けた結果、現在ではSoxによる大気汚染濃度は減少しています。

NOx(窒素酸化物)

NOx(窒素酸化物)とは、燃料を高温で燃やした時に大気中の窒素と酸素が結びついて発生する、一酸化窒素や二酸化窒素のことを指します。
中でも二酸化窒素は、高濃度になればなるほど肺、喉、気管などに悪影響を及ぼすと言われています。
また前述したようにNOxはOxの発生源であるため、光化学スモッグや酸性雨を引き起こす原因でもあります。

工場や火力発電所に限らず、NOxは家庭や自動車など様々なところから発生します。
日本においては特に東京や大阪などの都市部で多量のNOxが検出されており、そのうちの大部分は主にディーゼル車から排出されるガスが占めていることが判明したため、1992年からは「自動車NOx法」によりガス排出量の規制が設けられています。
その後、前述したPMに関する規制も加えられた「自動車NOx・PM法」が制定され、2007年からは同法に適合した低排出ガス車両には、任意で適合車であることを示すステッカーを貼る「自動車NOx・PM法適合車ステッカー制度」が施行されています。

大気汚染が新型コロナ感染リスクを上げると考えられる理由

新型コロナに限った話ではありませんが、多くのウイルスは免疫が下がった時に人体に侵入してきます。
そのため大気汚染の影響により体調を崩してしまうと、その分新型コロナに感染するリスクも上がってしまうのは否定できません。

また、肺炎などの持病を持っている人が新型コロナに感染した場合には重症化する可能性が高いとも言われていますが、コラム内で度々述べているように、大気汚染による健康被害の多くは肺や気管などの呼吸器系に発生します。
つまり新型コロナの感染リスクおよび重症化リスクを上げないためにも、大気汚染の深刻化を抑制する対策は必要不可欠だと言えるでしょう。

大気汚染と新型コロナの感染拡大を両方抑えるには

ここまで読んだ人の中には、「そうは言っても、個人で大気汚染の進行を止める対策なんてできないよ!」と思った方もいるのではないでしょうか。
ですがどんなに小さなことでも継続していけば、知らず知らずのうちに大気汚染の進行と新型コロナ感染リスクの両方を抑えることに貢献できるかもしれません。
大気汚染を抑えるために個人でもできる取り組みは、以下になります。

・なるべく電車やバスなどの公共交通機関を利用する(自動車から排出されるガスを減らすため)
・外出時には使わないコンセントは抜いておく(待機電力も大気汚染物質排出の原因となるため)

これらの取り組みをコツコツ続けるだけでも、大気汚染ひいては新型コロナの感染拡大を巡り巡って抑制できるかもしれませんね。

まとめ

今回は大気汚染物質ごとの人体に与える健康被害から、大気汚染が新型コロナ感染拡大に影響する理由などについて紹介しました。
中々先の見えない日々が続いていますが、この冬を元気に乗り越えるためにも引き続き手洗い、うがい、ソーシャルディスタンスの確保などの新型コロナ対策は徹底しつつ、できる範囲で大気汚染対策にも取り組んでいけると良いですね。

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