「フラワーロス(花の廃棄)」削減に向けた、各業界のサステナブルな取り組み

SDGs

誕生日、プロポーズ、お見舞い、何気ない日常に至るまで、私たちの毎日に彩りを与えてくれる存在である花。
色とりどりの綺麗な花を眺めていると、それだけで心が癒されますよね。
それだけでなく、部屋に飾れば空間が華やいだり、季節の移り変わりを感じられたりと、花にはさまざまな効力、魅力があります。

しかし一方で、2020年の新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染拡大以降、大小さまざまなイベントが中止を余儀なくされた影響により、大量の花が廃棄されてしまう「フラワーロス問題」が頻発するようになりました。
元々規格外であったり、店頭に並ぶ前に鮮度が落ちてしまった花などは廃棄されていましたが、コロナ以降はその廃棄量が一段と増えたことで、改めてこの問題が注目されるようになりました。

近年ではSDGsへの意識が世界的に高まっていることもあり、これをきっかけにさまざまな業界がフラワーロスを減らすための活動に取り組み始めています。
そこで今回は、フラワーロス削減に取り組む団体や企業、そして具体的な取り組み内容について紹介していきます。

農林水産省

農林水産省は、日本で新型コロナの感染が拡がり始めた2020年3月より、「花いっぱいプロジェクト」を実施しています。
このプロジェクトは、新型コロナによって需要が減少している花の消費拡大を図るべく、消費者に「家庭や職場に花を飾りましょう」「身近な人に花を贈ってみましょう」と呼びかけ、花の購入を促すことを目標としています。

1年目の「花いっぱいプロジェクト2020」では、農林水産省庁舎内の至る所に花を飾るのはもちろん、ホワイトデーに合わせた職員向けのフラワーアレンジメントの凱旋販売、公式HPや公式youtubeチャンネル「BUZZ MAFF(ばずまふ)」を通したPR活動などを行いました。
2年目の「花いっぱいプロジェクト2021」からは更に活動の幅が広がり、公式HPではプロジェクトに賛同するお花屋さんリストや、フラワーロス削減に取り組む地域や企業などがチェックできるようになりました。

そして現在実施中の「花いっぱいプロジェクト2022」では、オランダ・アルメーレで2022年4月14日~10月9日まで開催されている「国際園芸博覧会(フロリア―ド2022)」に日本政府として出展するという、プロジェクト始まって以降最も大きな取り組みに参加しています。

なお2027年には、神奈川県横浜市で最上位クラス(A1クラス)の国際園芸博覧会が開催される予定です。
これが実現すれば、1990年に大阪府大阪市で開催された「花と緑の博覧会」以来、37年ぶりのA1クラスでの開催となります。

参考:花いっぱいプロジェクト|農林水産省

フラワーライフ振興協議会

フラワーライフ振興協議会は、農林水産省「公共施設等における花きの活用拡大支援事業」を受託している、2020年9月に設立した協議会です。

全国の国宝や主要観光地で行うイベント「スマイルフラワーフェスティバル(通称スマフェス)」を通して、地域の伝統や文化と花の魅力を伝えながら、フラワーロス削減に取り組んでいます。

たとえば、第1弾として2020年10月3日~4日に行われた富山県高岡市のイベントでは、国宝瑞龍寺に200種1万5,000本のお花を取り寄せ、参道や寺内など至る所にフラワーオブジェを配置しました。
また、2020年11月13日~14日には、奈良県の世界遺産・興福寺で、2021年2月20日~21日には、兵庫県の世界遺産・国宝姫路城でスマフラフェスを開催しています。
興福寺には、日本一の菊産地である奈良県平群(へぐり)で育った菊が2万本献花奉納され、姫路城には桜やバラなど約40種500本以上が装飾に使用されました。
その他、駅構内や商業施設などの装飾も行っています。

また、スマフェスだけでなく、花文化やフラワーロスの現状について学べる講座やセミナーも不定期で開催しています。
このように、フラワーライフ振興協議会はさまざまな取り組みを通して、「花の魅力を活かした新たな生活様式(フラワーライフ)」を提案しています。

参考:フラワーライフ振興協議会

日本サステナブルフラワー協会

日本サステナブルフラワー協会は、「re;bloom(再び咲く)」という造語をモットーに掲げ、廃棄されてしまう花を「サステナブルフラワー」として再利用する活動を行っている協会です。

同協会が展開するサステナブルブランド「moani」からは、サステナブルフラワーを使用したボタニカルキャンドルやソープなどが販売されています。
また、「結婚式で使った生け花ブーケを綺麗なまま残したい」という要望を叶える「アフターブーケキャンドル」の製作も行っています。
このアフターブーケキャンドルは、moaniが商標権を取得した唯一無二のアイテムとなっています。

また同協会は、ロスフラワー(廃棄予定の花)を救う「リブルームアーティスト」の育成にも力を入れています。
受講者は、キャンドル作りの基礎知識、ドライフラワーの作り方などを含む全17コースを通してリブルームアーティストについて学び、その後試験に合格すれば、アーティストとしての活動を始めることができます。
なお育成講座には、「お花の知識が全くない」という方も安心して参加することができます。

その他、不定期のワークショップや交流会など、フラワーロスについて学べるイベントも度々開催しています。

参考:日本サステナブルフラワー協会

株式会社RIN

J.Rim LeeによるPixabayからの画像

株式会社RINは、廃棄されてしまう花を用いた空間装飾を主な事業とする会社です。
需要低下によって廃棄されることになった花を農家から買い取り、「フラワーサイクリスト(廃棄花に命を吹き込む人)」たちの手でドライフラワーに生まれ変わらせ、装飾に活用しています。
これまでに、資生堂グローバルイノベーションセンター、ラフォーレ原宿、ルミネエスト新宿などの空間装飾を行っています。

また、公式オンラインショップ「Flower cycle marce(フラワーサイクルマルシェ)」では、ドライフラワーだけでなくフレッシュな生け花も販売されています。
これらの商品を購入すると、フラワーロス問題に間接的に支援できる仕組みとなっています。

現在、株式会社RINには8名のスタッフの他に、100名以上の応募から選ばれたRIN公認のアンバサダーが23名在籍しています。
アンバサダー達は、「フラワーロスを減らし、花のある暮らしを文化にすること」をミッションに掲げ、SNSでの発信、ワークショップの開催、ポップアップショップの出店などの活動を行っています。

参考:株式会社RIN

FLOVER(フラバー)

Jill WellingtonによるPixabayからの画像

FLOVER(フラバー)は、花の総合カンパニー「クリエイティブ・フラワー・コーポレーション株式会社」が2022年7月25日にリリースした、「フラワーロスを救う花のサブクスリプションサービス」です。
「Fower」と「Lover」を組み合わせた名前のこのサービスは、主に3つのプロジェクトから成り立っています。

1つ目は、花のサブスクプラン「15%FLOVERS 」です。
現在日本の花農家では、生産本数の15~20%の花が「茎が短い」「花弁が欠けている」等の理由で市場に流通せず、廃棄されています。
15%FLOVERSは、そんな規格外の花を全国の花農家や市場と連携することで、圧倒的な鮮度と共にお届けするプランとなっています。

2つ目は、「スマイルフラワープロジェクト」です。
2020年4月、コロナ禍により顕在化したフラワーロスを解決するために立ち上がったこのプロジェクトは、花農家、市場、流通、消費等の過程におけるあらゆる課題の根本的な解決を目指し、廃棄される運命にある花をできるだけ救い出し、多くの方に新鮮なまま届けることを目標に掲げています。

3つ目は、「re:FLORA」です。
これは、廃棄予定の花に加工やアップサイクルを施すことによって「お花の命を活かし切る」取り組みです。
アップサイクルアイテムの販売はもちろん、農園見学やワークショップ等の体験型サブスクリプションも通して、いのちの循環を伝えることを目指しています。

参考:FLOVER

まとめ

今回は、フラワーロス削減に取り組む企業や団体等を紹介しました。
「最近お花買ってないな…」と思った方は、当コラムをきっかけに久しぶりに買ってみてはいかがでしょうか。
部屋に一輪飾るだけでも、きっと心が癒されるはずですよ。

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