プロパンガス?都市ガス?オール電化?それぞれのメリット・デメリットを比較!

エネルギー(再エネ・化石燃料etc.)

現在、日本では「プロパンガス」「都市ガス」「オール電化」の3種類が家庭におけるエネルギー供給の主流となっていますが、「正直はっきりした違いが分からない…」と思っている方も多いのではないでしょうか。
新築を建てる際や引っ越しをする際のエネルギー選びで迷わないためにも、今回は各エネルギーのメリットとデメリットから価格の違いまでを見ていきたいと思います。

プロパンガスのメリット

対応エリアが広域

都市ガスの場合は地下に通された導管を通してガスを住宅へ送るのに対し、プロパンガスの場合は専門業者から送られるガスボンベを住宅の外などに置き、そこからガスの供給を得るというかたちになります。
つまり都市ガスのように導管を必要としないため、都市部から離島まで幅広い地域に対応することが可能となっています。

導入費用を分割して払える

基本的にプロパンガスの導入工事費用は、月々のガス料金に加算して分割で5~10年間ほどかけて支払っていくかたちになります。
「まとまった予算は無いけどプロパンガスを導入したい」という方にとっては、これは嬉しいポイントと言えるのではないでしょうか。

災害時の復旧スピードが早い

導管と繋がっていないプロパンガスは災害発生時の設備メンテナンスをスムーズに行えるため、復旧するスピードも他のエネルギーと比べて速い点が特徴となっています。
実際2011年の東日本大震災でも、全ライフラインの中で最も早く復旧したのはプロパンガスでした。

プロパンガスのデメリット

他エネルギーに比べて利用料金が高い

一般的に、プロパンガスは都市ガスに比べて利用料金が割高であると言われています。
とはいえこの料金は業者によっても異なってくるので、「なるべく安いプロパンガスを選びたい」と思ったらいくつかの業者を候補に挙げ、それぞれの価格を比較した上で最もリーズナブルな業者を選ぶようにすると良いでしょう。

ガスボンベを置くスペースが必要になる

ガスボンベが供給源となっているため、あらゆる地域に対応できるプロパンガスですが、裏を返せば住宅敷地内にガスボンベを置くためのスペースが必要になるということにもなります。
そのため既存住宅にプロパンガスを導入する場合は、事前に適切なスペースがあるか確認しなければなりませんし、新築に導入したいと思った場合も同様にガスボンベ用のスペースを考えてく必要があります。

都市ガスのメリット

料金設定がシンプル&安い

ガス自由化」のもと各業者によって定められているプロパンガスの料金とは違い、
都市ガスの料金は国が定めている「公共料金」です。
そのため、各ガス会社による料金の差などが生じない仕組みとなっています。

また、プロパンガスと都市ガスの基本料金を比べた場合、全体的に都市ガスの方が低価格だということが分かっています。
具体的にはプロパンガスの基本料金が毎月1,500~2,000円程度なのに対し、都市ガスの基本料金は500~1000円前後と約半分近く安くなります。

ガス会社選びの手間が少ない

前述したガス自由化の追い風により、現在日本におけるプロパンガス会社はなんと優に20,000社は存在すると言われています。
しかし、ここまで多いと「どこを選べばよいのか迷う!」と途方に暮れてしまう方も多いですよね。
その点都市ガス会社は全国的に見ても約200社と選べない数ではないため、
ガス会社選びにかかる手間はプロパンガスに比べて少ないと言えるでしょう。

都市ガスのデメリット

一から導入しようとすると高いコストがかかる

「都市ガスにしよう!」と決めても、もしお住いの地域に専用の導管が通っていない場合は一から自己負担で整備する必要があります。
具体的な費用はお住いの地域ごとによって異なるため、気になった場合は事前に確認しておくことをお勧めします。

故障すると復旧までに時間がかかる

災害発生から復旧までのスピードが速いプロパンガスに対し、都市ガスは復旧にやや時間を要する場合があります。
理由としては地下を通る導管がある分、設備メンテナンスに手間取ってしまうことが挙げられます。
日本では地震や台風などの自然災害が多いため、「料金の安さよりも災害対策に重点を置きたい」という場合はよく考えた上で「都市ガスにするか否か」を決めると良いでしょう。

オール電化のメリット

光熱費をカットできる&支払いがラク

オール電化にした場合、今までガスをエネルギーとしていた生活機器(キッチンコンロや給湯器など)も全て電気化されるため、必然的に利用料金も「電気料金」として一本化されます。
そうなることでプロパンガスや都市ガスの使用時には発生していた「基本料金」(ガスの使用量とは関係なく毎月かかる料金のこと)が削減されるため、その分光熱費を浮かせることができます。
また、それだけでなく「電気料金とガス料金を別々に支払う煩わしさから解放される」という意味でも、この点はオール電化における大きなメリットと言えるでしょう。

夜間の電力を活用できる

大抵の場合、オール電化には夜間の電力を割安料金で利用できる「オール電化独自のプラン」が設定されています。
エコキュートや蓄熱式ヒーターなどは夜間をメインに沸き上げや蓄熱を行うため、
結果的に光熱費を削減することができます。

火災リスクが低い

ガスコンロやガスストーブを使用した場合、その性質上ふとした不注意から火事が発生する可能性は決して低くありません。
しかしオール電化の場合、調理器具はIH、暖房はエアコンや床暖房でまかなうことになり火は一切使わないため、ガス使用時に比べると火事が発生するリスクは格段に下がります。
とはいえ「オール電化なら絶対に火事は起きない!」という話では決してないため、
「溜まった汚れが原因で発火しないようこまめにコンセント周りは掃除する」「調理中は決してIHから目を離さない」など日ごろから心掛けておくことが大切です。

省エネ性が高い

オール電化に使われるエコキュートは自然エネルギーを利用して稼働するため、沸き上げ時に微量なCO2を排出するガス給湯器に比べて環境負荷が少なく、省エネ社会の実現に貢献できるとされています。

オール電化のデメリット

初期費用が高い

オール電化を導入するためには、予めある程度まとまった予算を用意しておく必要があります。
費用額は導入工事を依頼するメーカーによって異なりますが、大抵の場合は50~100万円ほどかかるため、決して「オール電化=リーズナブル」とは言えません。
しかし、近年では個人向けのオール電化住宅ローンに対応している銀行も多数あるため、「オール電化にしたいけど予算面が気になる…」という場合は一度お近くの銀行に相談してみることをお勧めします。

夜間電力が安い分、日中電力は割高

前述した通り夜間電力は割安となっていますが、その分日中電力はプロパンガスや都市ガスよりもやや割高となっています。
光熱費をなるべく上げないためには「晴れた日は室内照明を点けず自然光で過ごす」
「日中に調理をするのではなく夜のうちに作り置きしておく」などの習慣をつけておくと良いかもしれません。

結局どれを選ぶべき?

プロパンガス、都市ガス、オール電化それぞれのメリットとデメリットを見てまいりましたが、結局どれを選べば最もお得と言えるのでしょうか?
季節によって多少の変動はありますが、各エネルギーの月間と年間の平均光熱費は次のようになります。

<プロパンガス>(電気ガス含めた合計)
・月間平均:約18,000円
・年間平均:約210,000円

<都市ガス>(電気ガス含めた合計)
・月間平均:約14,000円
・年間平均:約170,000円

<オール電化>
・月間平均:約15,000円
・年間平均:約180,000円
※全て4人暮らしの場合

こうして見ると光熱費はプロパンガスが最も高く、僅差でオール電化よりも都市ガスが若干安いということが分かります。
そのため「お得さ」を最優先するのであれば都市ガス、災害時や広域使用における「対応力」が重要であればプロパンガス、そして「光熱費の一本化」や「省エネ性」に惹かれる場合は、オール電化を選択すると良いかもしれません。

まとめ

今回はプロパンガス、都市ガス、オール電化といった3種類のエネルギーについて見てまいりましたが、「お得かお得じゃないか」といった点以外にも、それぞれ異なった特長があることが分かりましたね。
少しでも多くの人にとって、当コラムがエネルギー選びの参考になれば幸いです。

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