再エネの力で復興&地域活性化!実践している地域やその取り組みを知ろう

エネルギー(再エネ・化石燃料etc.)

再生可能エネルギー(以下、再エネ)の普及が推進される第一の理由は何と言っても
「環境負荷軽減のため」ですが、近年ではその特性を活かし、復興や地域活性化のための足掛かりの1つとして取り入れる地域も少なくありません。

もちろん地理状況などによって主力となる再エネは異なりますが、再エネを軸に復興及び地域活性化に力を入れている各地域の取り組み方を見ていくと、そこには共通した思いが根底にあることが分かってくるはずです。これからの省エネ社会の在り方を今一度考えるためにも、今回は「再エネと復興&地域活性化の関係」について一緒にチェックしていきましょう。

福島県の取り組み

2011年の福島第一原発事故により甚大な被害を受けた福島県は、日本で最も再生可能エネルギーの普及に力を入れている県の1つだと言っても過言ではありません。
「2040年頃までには県内で利用するエネルギーの全てを再エネにする」という目標のもと推進活動を続けた結果、2017年には早くも30%以上の再エネ需要量を達成することに成功しています。

福島県内でこれほどまでに再エネ普及率を上げられたのは、前述したような目標や活動があったからに他なりませんが、実は別の理由もあります。
ずばり、それは「恵まれた自然環境と地形があったから」と言えるでしょう。

その土地条件を活かして作られた多種多様な再エネ発電システムは、以下になります。

・メガソーラー発電システム…相馬市の広大な土地を活用して設置。
・風力発電システム…南相馬市の沿岸部に「万葉の里風力発電所」として設置。
・地熱(バイナリー)発電システム…福島市の土湯温泉街に設置。

・バイオマス発電システム…地元の木材を活用すべく県内各地に設置、及び設置予定。
・小水力発電システム…かねてより水力発電がさかんな会津地方の下郷町に設置。

これらの他にも、まだまだ様々な再エネ発電システムを建設する予定だと言われています。福島県が「再エネ先進地」として世界に誇れる地となる日も、そう遠くはないのかもしれませんね。

岩手県の取り組み

岩手県もまた「県内における再エネを用いた電力自給率を35%にまで上げる」という目標のもと、活発な再エネ推進活動を行っている県の1つです。
福島同様に土地環境に恵まれていてあらゆる再エネを活用しやすいため、太陽光や風力をはじめとした再エネ発電システムの設置も各地で進められています。
また、花巻市では電力使用量を少しでも減らすために各施設照明のLED化を進めたり、
矢巾町では太陽光発電システムを導入するための補助制度を立ち上げたりと、市町村ごとに
異なる様々な取り組みも行われています。

中でも岩手県の中部に位置する葛巻町は、「エネルギー自給率160%の町」としてその名を全国にまで轟かせています。
豊かな森林に囲まれ、酪農や農業を主な産業とする葛巻町では、かねてより強風や牛の糞尿の悪臭に悩まされていました。
しかし1999年に「葛巻町新エネルギービジョン」が策定され、強風を利用した風力発電システムの設置や糞尿を利用した「バイオガス発電システム」の開発が進められたことで、葛巻町はたちまち県内随一の再エネ先進町となります。
その画期的な取り組みが県外からの注目も集め、今では多くの観光客が訪れる人気観光地にまでなっています。


そして2020年4月には岩手県と東北電力がタッグを組み、
水力発電システムを活用した「いわて復興パワー水力プレミアム」という
企業向け電力プランを開始することを発表しました。
これは岩手県内の水力発電システムで発電したクリーンな電力を県内企業等に供給する、
いわば「再エネ地産地消」を目指すための計画となっています。

前述した葛巻町エネルギービジョン然り、国内ではいち早く再エネの普及や地域資源の循環に力を入れてきた岩手県の取り組みからは、今後も目が離せませんね。

福井県の取り組み

福井県と言えば原子力発電所が多いイメージがありますが、近年では再エネ発電システムの普及及び開発にも力を入れています。
「1市町1エネおこし」というプロジェクト目標のもと、「再エネの普及及びエネルギーの多角化」と「まちおこし」の両方を実現するための活動が行われています。
中でも力を入れて推進が進められているのは、「木質バイオマス発電」です。
かねてより福井県には日本トップレベルの森林資源があり、その量は針葉樹と広葉樹を合わせて何と年間約2400万トンにもなると言われています。
しかしそのうちの約7万トン以上は、伐採されたまま利用されず残材になるという問題も抱えていました。
そこで県内でも特に林業がさかんな大野市は、この残材を活用してバイオマス発電を行うためのプロジェクトを発足させます。
そして2016年4月には待望の木質バイオマス発電システムが完成し、以降は県内の約1万世帯以上に電力供給を行いながら、林業の再生や山林の整備に貢献しています。バイオマス発電の他には山間部への小水力発電システム設置も進めるなど、着実に
「再エネ時給率の高い県」への歩みを進めています。

高知県の取り組み

前述した福島県、岩手県、福井県も再エネ運用に適した環境が整っていますが、これらの県以上に全国屈指の潤沢なエネルギー資源を誇っているのが高知県です。
水源、高原、森林などの豊富な自然を再エネ運用に活用すべく、高知県では官民連携
(官庁と民間が手を組んで事業を進めること)の発電プロジェクトが拡大しています。
県内に設置された太陽光、地中熱、バイオマス、風力、小水力などの発電システムによる年間総発電量はなんと2014年度の時点で25億kWh以上にのぼり、県内の7割近くの電力消費量を自給することに成功しています。
しかし高知県はこの結果に満足せず「2025年までには電力自給率100%を達成する」という目標のもと、現在も県内各地への再エネ発電システム導入を進めています。

県内でも特に積極的な再エネ導入を行っているのが、高知県西部に位置する梼原町(ゆすはらちょう)です。
梼原町は町面積の90%以上を森林が占め、標高1455mの四国カルストに囲まれた
自然豊かな町となっています。
そのため森林はバイオマス発電に、四国カルストから吹く風は風力発電に、
四万十川に流れる水は水力発電に…といったように、小さな町の中で十分にエネルギーの地産地消を実現することができるというわけです。
また太陽光発電の補助金制度を導入したことで、町内にある住宅のうち20軒に1軒が住宅用太陽光システムを設置するようにもなったと言われています。このような取り組みから梼原町は「環境モデル都市」に指定され、他県からの視察や観光客が度々訪れる
人気のある地となっています。
これらの成果は、梼原町に暮らす人々の「この町の素晴らしい資源を活用したい!」という思いが招いたと言っても過言ではないでしょう。

まとめ

日本各地における再エネを取り入れた復興活動、及び地域活性化活動について見ていきましたが、どの取り組みも「この県(あるいは市や町)をより良い環境にしたい」という強い思いが根底にあるということが分かりましたね。とはいえ、実は今回ご紹介した4つの県はほんの一部に過ぎません。
日本国内での再エネ普及活動は年々活発化しているため、「自分の暮らす地域では一体どんな取り組みがされているんだろう?」と気になった場合は一度調べてみると良いでしょう。
もしかしたら、今までは知ることのなかった地元の魅力を発見するきっかけになるかもしれませんよ。

当社も日本各地の取り組みを参考にしながら、「再エネ普及のためにできることは何か」ということについて今後も考えていきたいと思います。

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