塩害は太陽光発電システムの大敵!?リスクや対策を知って備えよう!

太陽光発電

太陽光発電システムは自家発電及び自家消費を促す大きな働きをしてくれますが、その一方で高温に弱いなどの弱点もあります。
中でも大きなダメージを受けやすいとされるのが、主に沿岸部を中心に発生する「塩害」です。
沿岸部は土地が広く直射日光を浴びやすい環境とはいえ、塩害と聞くと設置を躊躇してしまう方も少なからずいらっしゃるのではないでしょうか。

しかし、事前にしっかり対策をすれば、沿岸部に設置した場合でも塩害の影響を最小限まで抑え、効率的な太陽光発電を行うことが可能です。
今回は塩害が太陽光発電システムに及ぼす被害や、その対策を見ていきましょう。

「塩害」が太陽光発電システムに及ぼす被害

「塩害」とは、海中に含まれる塩を含んだ潮風が建造物や植物にあたり、ダメージを与える現象のことです。
この塩害は高潮などの影響で海水が直接土壌に侵入してきた際にも引き起こされ、農作物を枯らす、電線を腐らせる、建造物を劣化させる…など、これまでの歴史の中でも人々の暮らしにあらゆる被害を及ぼしてきました。

そして塩害被害を受ける可能性があるのは、太陽光発電システムも例外ではありません。
万が一被害を受けた場合、ソーラーパネルはもちろんパワコンやその他周辺機器が故障してしまうケースもあります。
パネル表面の見た目は変わらないものの、気づいたときには内部配線が腐食していた…という事態も起こりえます。
さらにパネルを支える架台が塩害の影響により劣化した場合、パネルが屋根から落下してくる危険性もあります。

「塩害なんて大したことないでしょ?」程度の認識で注意を怠っていると、思いもよらない大きな被害を招いてしまうかもしれません。

日本国内で塩害が起こりやすい地域

日本では塩害被害を受けやすい場所を「塩害地域」と言い、一般的にその地域は海岸からの距離によって定義されています。
基本的には海岸から1~7km以内の地域が起こりやすいとされており、中でも500m以内の場所は「重塩害地域」に指定されています。
地方で言うと、季節風や台風の影響を受けやすい関東地方や九州地方は、より塩分が運び込まれやすいとされています。

とはいえ、内陸部に影響を与える可能性もゼロではなく、2018年には台風24号の影響で東京西部や埼玉まで塩害による被害が拡大しました。
屋外に駐車されていた車は軒並み塩に覆われてしまったため、洗車のためガソリンスタンドに並んだという方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。
たとえ内陸部にお住い場合のでも、万が一の際に備えた塩害対策はしておいて損はないと言えるでしょう。

沿岸部に設置することで生じるメリットもあり!

沿岸部は塩害による被害のリスクが大きいと述べましたが、一方で日光を遮る建造物や木々などの植物が少ないため、太陽光発電システムを設置した場合は内陸部よりも高い効率で発電できるというメリットもあります。

太陽光発電システムの設置可能地域についてはメーカーごとに基準を設けていますが、「海岸から500m以上あれば設置可」「直接海水がかからない場所なら設置可」「塩害地域は全般的に設置不可」など、その基準は様々です。
しかしいずれにせよ、500m以内の重塩害地域への設置は安全性を考慮した上でお勧めできません。

「自分の住んでいる地域は設置できるのかな…?」とお悩みの際は、まずはお気軽に当社までお問い合わせください。

近年では塩害対応パネルも続々登場

塩害による被害低減のため、近年では塩害対応型のソーラーパネルも多数登場しています。
特に当社が扱っているカナディアンソーラーのパネルは、塩害による腐食耐性に関する非常に厳しい試験を通過しており、さらにアンモニア耐性も兼ね備えています。

その他、特殊な強化ガラスやフィルムを搭載したパネルを取り扱っているメーカーもあります。
塩害対応システムは通常装備として搭載されている場合もあれば、別途専用のセットが必要になる場合もあり、その点はメーカーによって異なります。

メーカー選びにおいては発電効率の高さやコストパフォーマンスの高さも大切ですが、こと塩害地域にお住いの方に関しては、「塩害への対応力」が最も重要視すべき点だと言えるでしょう。

パワコンの塩害対策は必要?

ソーラーパネル同様にパワコンも精密機械なため、万が一塩害の影響を受けた場合は故障を起こしてしまう可能性が非常に高いです。
ただ、ソーラーパネルは基本的に屋外にしか設置できない点に対し、パワコンは屋外型のみならず屋内型のラインナップも充実しています。
少しでも塩害による故障リスクを下げるためには、パワコンはなるべく室内に設置されることをお勧めいたします。

ただ、近年では塩害対応機能を搭載した屋外型パワコンも登場し、当社がお勧めするメーカーの一つであるパナソニックも塩害対応屋外型を取り扱っております。
「塩害リスクを下げるためなるべく外には出したくない」と言う場合は屋内型、「屋内に置き場所がない!」と言う場合は塩害対応の屋外型パワコンを選ぶのが得策と言えるでしょう。

塩害被害を最小限抑えるために確認すべきこと

「塩害に強い太陽光発電システムやパワコンを選ぶべき」というお話をしましたが、塩害対策において何よりも重要なことは「日頃のこまめなメンテナンス」と言えるでしょう。
強い風が吹いた日はパネルの様子をチェックし、塩が上に積もっていた場合は払い落すなどの状況に応じた対処が重要になります。
また、通常パネルや機器の保証においてはメーカーごとにあまり大きな差はありませんが、塩害を受けての故障となると保証内容が全く異なる場合もあるため、万が一の事態に備え早い段階で確認しておくことが大切です。

稀に粗悪な施工会社が事前確認作業を怠ったまま太陽光発電システムを設置してしまい、塩害被害を受けた後何のメンテナンスもしてくれなかった…というトラブルが発生することがあります。
塩害地域に限らず言えることではありますが、安心して長くお使いいただくためには設置希望場所の事前調査、保証内容の事前確認は必要不可欠と言っても過言ではありません。

★豆知識★そんなに昔から!?人類と塩害の歴史

古代より人類は塩害による被害に悩まされてきましたが、その中で最も有名な話の一つに「メソポタミア文明は塩害によって衰退した説」があります。
ティグリス川とユーフラテス川の狭間に位置していたメソポタミア文明は、灌漑(田畑に必要な水分を与えるための水路を作ること)を行うことで農業を拡大していました。

しかし、かつては海だったメソポタミアの地中内には多くの塩分が含まれており、十分な灌漑を行わなかった結果塩害が拡がり、農業及び文明の衰退に繋がったと言われています。
これが文明衰退の全ての理由とは言い切れませんが、塩害が人類に及ぼす脅威を象徴するようなエピソードということは確かですね。

まとめ

塩害が太陽光発電システムにもたらす影響や、その対策について見ていきました。
塩害による被害は侮れませんが、いかなる地域にお住いの場合でも太陽光発電システムを導入できる可能性はあります。
当社はその導入に最適な糸口を探り、より安全で快適な太陽光発電ライフを送っていただくべく、今後も塩害対策のための調査を続けてまいりたいと思います。
「我が家は設置できない地域だろうな…」と諦めてしまう前に、ぜひ一度当社にご相談ください。

タイトルとURLをコピーしました