JR、東京メトロ、小田急…鉄道業界で拡がる「サスティナブルな取り組み」とは

SDGs

東武鉄道は2022年4月1日から、日光・鬼怒川エリアで運行する電車と駅施設、浅草から同エリアへ運行するすべての特急列車に使用する電力を、すべて再生可能エネルギー由来の電力に置き換えることを発表しました。

環境に配慮したサービス「NIKKO MaaS(日光マーズ)」が提供するEVカーシェアリングとセットにすることで、都心から奥日光までの区間でCO2排出ゼロの「エシカルなトラベル」を実現する見通しです。

この取り組みをはじめ、東武グループは日光・鬼怒川エリアを「歴史・文化・伝統と自然が共生する国際エコリゾート」にすることを目標に掲げ、沿線自治体と手を組んで環境負荷ゼロを目指しています。
近年では東武グループの他にも、積極的にサスティナブル事業に取り組む鉄道会社が増えています。
今回は、鉄道業界で拡がるサスティナブルな取り組みについて紹介していきます。

JR東日本・西日本

JR東日本は2020年5月より、2050年のCO2排出量を実質ゼロにするための長期環境目標「ゼロカーボン・チャレンジ2050」を掲げています。
この目標の策定以降、JR東日本は、水素ハイブリッド電車の実証試験、各営業所への燃料電池自動車や電気自動車の配置などに取り組んでいます。
また、電車がブレーキをかけた際に発生するエネルギーによって生まれた「回生電力」を、駅の照明や案内看板のLEDなどに活用しています。

再生可能エネルギーの開発推進においては、福島県に30MWのメガソーラーを1か所、秋田県に合計346MWの風力発電所を3か所設置し、稼働させています。
その他、車両基地などの未利用地を活用した太陽光発電システムや、駅舎などの自家消費型太陽光発電システムも稼働しています。

なお東北エリアに関しては、2030年までのCO2排出量実質ゼロを目指しています。
目標の達成に向け、2022年度からは電車運行に使用する電力に順次「非化石証書(※)」を利用し、実質的に再生可能エネルギー由来の電気に置き換えることが決まっています。
この取り組みを通して、年間1.2万トンのCO₂排出量が削減される見通しです。

2021年4月からは、JR西日本グループも「ゼロカーボン・チャレンジ2050」を目標に掲げ、省エネ車両の導入などに取り組んでいます。

※非化石証書…再生可能エネルギーで発電された電気が持つ環境価値を証書化したもの。

東京メトロ

東京メトロは「東京を走らせる力」という理念のもと、2020年9月に「安心で持続可能な社会」の実現に向けたサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)を特定しました。
2021年3月には、マテリアリティの1つである「気候変動の緩和」に目を向けた長期環境目標の「メトロCO₂ゼロ チャレンジ2050」を策定し、2050年のCO2排出量実質ゼロに向けて取り組んでいます。
具体的な取り組みとしては、回生電力の活用、一部駅への太陽光発電システムの設置、エネルギー効率の良い車両の使用などがあります。

またサステナビリティ全体における取り組みとして、東京メトロは「my!東京MaaS」というサービスを展開しています。
MaaS(Mobility as a Service)とは、従来の交通手段にICT(情報通信技術)を掛け合わせた次世代型の交通サービスを意味します。
Maasを活用することで交通機関の効率化、交通渋滞の緩和、温室効果ガス抑制などのメリットが生まれるとされています。
東京メトロはmy!東京MaaSを通して、ルート検索アプリによる移動しやすさの追求、健康応援、バリアフリー加速などに取り組むことで、「持続可能な社会の実現」を目指しています。

小田急

小田急は2021年9月に「カーボンニュートラル2050」を策定し、2050年のCO2排出量実質ゼロに向けた再生可能エネルギーの活用と省エネ化の推進に取り組んでいます。
回生電力の活用はもちろん、都心部の駅には太陽光発電パネルや地中熱ヒートポンプシステムの省エネ設備を設置したり、国立公園内に位置する箱根ロープウェイ・大涌谷駅には風力発電システムを設置したりするなど、地域特性に合った「環境に優しい駅づくり」を進めています。

また小田急は、再生可能エネルギー由来の電力を使用した特急ロマンスカー・VSEを「ゼロカーボンロマンスカー」として2021年10月から2022年2月まで運行しました。
2022年4月1日からは、東京都による「C&T制度(※)」のもと創出したCO2超過削減量を活用した、新たなゼロカーボンロマンスカーの運行を開始しています。

※C&T(キャップ&トレード)制度…「国内排出量取引制度」とも呼ばれる温室効果ガスの排出量取引制度。
企業に排出枠(キャップ)を設け、その排出枠(余剰排出量や不足排出量)を取引(トレード)する制度。

東急電鉄

東急電鉄は、かねてより「人と環境に優しい車両」をコンセプトとした車両の導入を進めています。
具体的には、回生電力の活用、車内照明へのLED採用、車いすスペースに二段手すりを設置するバリアフリー対策などがあります。

2019年3月には、東急世田谷線において水力および地熱のみで発電した電気を使用する、日本初となる「再生可能エネルギー100%(※)」による通年・全列車の運行を開始しました。
これは東急電鉄、東北電力、東急パワーサプライの3社の協力によって実現したもので、運行開始以降、世田谷線運行によるCO2排出量はゼロとなっています。

また、東急線での役目を終えた車両は他社に譲渡されていますが、これも環境改善に一役買っています。
再利用することで車両解体時に発生するコストや環境負荷を抑えることができ、譲渡先にとっても低コストで車両を更新することができる有効な手段となっています。

その他、渋谷駅に大規模自然換気システムを採用するなど、車両だけでなく「環境に優しい駅づくり」にも取り組んでいます。

※東急電鉄、東北電力、東急パワーサプライの3社合同による取組事例調査の結果

京王電鉄

京王電鉄は、他の鉄道会社と同様に回生電力の活用、車両のLED化、再生可能エネルギーの導入などに取り組んでいる他、独自の取り組みを通して環境保全に貢献しています。
具体的な活動としては、車両の洗車時における節水や関連建物の緑化などがあります。

まず車両の洗車についてですが、京王線の若葉台工場には「処理水再利用装置」が導入されており、使用済み水の汚れ除去などが行われています。
現在、京王電鉄の車両の洗車に使われている水の半分以上は、この装置によって処理されたものです。
また、若葉台と高幡不動にある車両基地には、車両洗浄に使用する水を従来に比べ約半分に削減できる「節水型車両洗浄装置」が導入されています。

次に関連建物の緑化ですが、京王吉祥寺駅にあるショッピングセンター「キラリナ京王吉祥寺」では、屋上と壁面に緑化が施されています。
壁面緑化の潅水には井戸水を使用し、また電力需要の下がる夜間電力を利用して氷を作る「氷蓄熱システム」を導入することで、夏場のピーク時における省エネ化を図っています。
また京王笹塚駅の「メルクマール京王笹塚」には、緑化と併せて高遮熱断熱ガラスなどを導入し、ヒートアイランド現象の軽減を図っています。

まとめ

鉄道業界におけるサスティナブルな取り組みは、想像以上に進んでいたことが分かりましたね。
通学や通勤にと普段当たり前のように利用している電車ですが、今度乗る時は駅や車両を含め、環境に配慮しているポイントを探してみてはいかがでしょうか。
また、普段マイカーでの移動が多い方も、たまには敢えて電車に乗って移動してみてはいかがでしょうか。
もしかしたら、車移動では気付けなかった景色に気付けるかもしれませんよ。

参考URL:JR 東日本グループ「ゼロカーボン・チャレンジ 2050」
参考URL:東京メトログループ サスティナビリティレポート2021
参考URL:my! 東京MaaS-東京における大都市型MaaSの取組み
参考URL:小田急グループの環境 UPDATE for sustainability
参考URL:全編成「ゼロカーボン ロマンスカー」として運行します
参考URL:環境への取り組み – 東急電鉄
参考URL:環境保全の推進 – 京王電鉄

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