うららかな春を脅かす天敵「花粉症」!発症原因の一因は地球温暖化だった?

環境問題

最近は少しずつ暖かくなり、少し遠くまで散歩したくなるような季節になってきましたね。
日本にとって春は新しい年度の始まりでもあるので、心機一転さわやかな気持ちで日々を過ごしたいものです。

しかし一方で、春はじわりじわりと「アレ」がやってくる季節でもあります。
「アレ」とは、そう、他でもない花粉症です。
人によって程度の違いこそあれ、花粉症になると鼻水、くしゃみ、目のかゆみ、頭痛など、とにかく辛い症状に悩まされますよね。
特に新型コロナウイルスの脅威も消えていない今は、「コロナに感染したのかただの花粉症なのか分からない…」と不安に襲われることも。

環境省によると、日本の花粉症患者数は年々増加傾向にあることが分かっています。
その理由としては、ストレス社会化や食生活の変化が挙げられていますが、中でも大きな原因として考えられているのが「地球温暖化の進行」です。
そこで今回は、地球温暖化が花粉症患者の増加にどう影響を与えているのかについて解説します。

花粉症が発症するメカニズム

花粉症とは、花粉が体内に入り込んだ時に、異物を排除しようと人間の身体が起こす免疫反応です。
身体は花粉を異物と認識することで抗体を作り出すため、免疫反応は健康を守る上で必要な反応となっています。

しかし、あまりに免疫反応が過剰に出ると、身体に負担がかかり生活に支障をきたす場合があります。
花粉症の場合、鼻や目に入り込んだ花粉を追い出すために鼻水、くしゃみ、かゆみ、涙などの症状が出ますが、これらの症状が強く出過ぎると、人によっては仕事や家事もままならないほど辛い状態になることがあります。

また、花粉の種類によっては鼻や目だけでなく、喉や肌にも症状が出る場合があります。
もし「鼻水やくしゃみは出ないけど、春になると肌荒れしたり、喉がイガイガしたりする」といった場合は、花粉症を疑った方が良いかもしれません。

花粉症の発症タイミングには個人差があり、「子供の頃から花粉症持ち」という人もいれば、「還暦を過ぎて発症した」という人もいます。
もちろん、一生発症しない場合もあります。
一般的には、アトピー性皮膚炎や気管支炎喘息など、もともと何らかのアレルギー疾患を持っている人が発症しやすいと言われています。
このような人は、「アレルギー素因」と呼ばれる免疫的な傾向を持っています。

アレルギー素因を持っている人の場合、体内に花粉が入るとその花粉(抗原)に対処するための抗体を作ります。
この抗体は、「IgE抗体」と呼ばれ、数年で十分な量に達する人もいれば数十年かかる人もいるそうです。
IgE抗体の完成後、再び花粉が体内に入ると、鼻水やくしゃみなどの花粉症の症状が出現します。
これが、花粉症が発症するメカニズムです。

地球温暖化が花粉症の増加に与える影響

花粉症の引き金となる花粉の代表としては、春に飛散ピークを迎えるスギ花粉やヒノキ花粉の他に、秋に飛散ピークを迎えるブタクサ花粉やヨモギ花粉などが挙げられます。
この中でもスギ花粉は飛散量が多く、花粉症の約70%はスギ花粉によるものだとされています。

これは、戦後の経済成長に伴い日本国土に大量に植林されたスギが今も伐採されずに残っていることが原因です。
さらに近年では、地球温暖化による気温上昇の影響で樹木の成長スピードが早まり、それによって花粉の量も増えていることが分かっています。

また、工場や車から排出される排気ガスによる大気汚染も花粉症増加の一因です。
空気中の化学物質がスギ花粉と合わさると、人の身体はよりアレルギー症状を引き起こしやすくなるため、花粉症を発症する人が増えているのです。

また近年では、スギ林が近くにない都市部でも花粉症になる人が増えています。
その理由は、都市部ではアスファルトで舗装された地面が多いため、落下した花粉が地面に吸収されないからだと言われています。
都市化のために自然が減少したことで、遠くのスギ林から飛んでくる花粉を吸い込み花粉症になるというのは、なんとも皮肉なものですね。

花粉症患者数は年々増加傾向

日本で初めて「花粉症」という病名が報告された1960年代から現在に至るまで、花粉症患者は年々増加傾向にあります。

ウェザーニュースが全国を対象(花粉飛散の少ない北海道・沖縄を除く)に実施した2019年の聞き取り調査によると、約60%近くの人が「自分は花粉症だ」と自覚していることが分かっています。 これだけの人々が、花粉症による諸症状に毎春悩まされているとは驚きですね。
また、花粉症を発症する平均年齢は20~30代だと言われていますが、近年では1~2才で発症するケースも報告されています。

このような花粉症患者の増加は、日本経済にも少なからず影響を与えると考えられています。
パナソニックが2020年に実施した「社会人の花粉症に関する調査」によると、花粉症による労働力の低下や医療費による経済損失は、一日当たり間約2200億円以上にものぼると推察されています。

国が取り組む花粉発生源対策

花粉症が社会的・経済的にもたらす影響については国も懸念しており、発生源を減らすためにさまざまな取り組みを実施しています。
林野庁は、花粉発生源対策として「3本の斧」を掲げています。
その内容は、以下の通りです。


・第一の斧「伐って利用します」
花粉を大量に飛散させるスギ人工林の伐採を進めます。
また、伐採されたスギについては、住宅に加えて、商業施設や公共建築物の木造化等に利用し、資源として活かしていきます。

・第二の斧「植え替えます」
花粉症対策苗木の生産増大に最優先で取り組み、スギの伐採跡地への植栽を促進します。
また、条件不利地においては、伐採後の広葉樹の導入等を進めます。

・第三の斧「出させません」
スギ花粉の飛散防止剤の開発・普及等、スギ花粉の発生を抑え飛散させない技術の実用化を図ります。

花粉発生源対策「3本の斧」(林野庁)より引用)

また、林野庁はスギの雄花だけを枯死させる菌類を活用した、スギ花粉の飛散量を抑える技術の開発にも取り組んでいます。

私たちにできる花粉対策

私たち一人一人がスギの伐採をすることは難しいですが、花粉症の発症や症状の悪化を抑える対策ならできるはずです。

マスクやメガネなどで花粉を防ぐことはもちろん大切ですが、何より最も意識すべきことは、「しっかり睡眠をとり、健康的な食生活を心掛けること」です。
不摂生や睡眠不足は花粉症の発症に大きな影響を及ぼし、特に喫煙や過度な飲酒は症状悪化の原因となるおそれがあります。
「最近生活習慣が乱れがちかも…」と感じている場合は、本格的な花粉シーズンが到来する前に、一度生活習慣を見直してみてはいかがでしょうか。

もう花粉症を発症してしまい、すでに症状が出始めている場合は、薬を服用することも一つの手です。
オススメは、花粉飛散予測日を目安に服用を開始することです。
そうすることで、発症を遅らせたり、辛い諸症状を軽減したりすることができます。

ちなみに花粉症の薬には、主に鼻水やくしゃみを抑える「第1世代抗ヒスタミン薬」と、アレルギー症状全般の発生を抑える「第2世代抗ヒスタミン薬」があります。
どの薬を飲んでよいか分からない場合は、花粉症外来やドラックストアにいる薬剤師の方に相談し、自分の症状に合った薬を選ぶと良いでしょう。

まとめ

花粉症に限った話ではありませんが、地球温暖化は巡り巡って私たちの身体にもさまざまな影響をもたらすことが分かりましたね。
地球環境のためにも私たちの健康のためにも、一人一人ができる範囲で温暖化対策に取り組むことが大切だと言えるでしょう。
ひとまず今年の春はしっかり花粉症対策をして、元気に新年度を迎えたいですね!

参考URL:花粉症環境保健マニュアル2019(環境省)
参考URL:花粉症の経済的損失は1日あたり2215億円という調査も(ウェザーニュース)

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