公共建築物への太陽光発電システム設置が標準化!設置の基準&義務化との違いとは

太陽光発電

2020年10月26日、菅総理大臣は就任後初となる所信表明演説において、「日本は2050年までに100%脱炭素化(カーボンニュートラル)を実現させる」と宣言しました。
そして2021年4月22日と23日にオンライン開催された気候変動サミットでは、菅総理は新たに「2030年までに46%の脱炭素化を実現させる」という目標を打ち出しています。

この「2030年までにはまず半減」という基準は多くの先進国において相場となりつつあるため、日本もその流れに沿ったのだと考えられます。
しかし2021年現在、既に2030年は9年後に差し迫っており、目標を達成するためには迅速に脱炭素化に向けた具体策を講じる必要があります。

そんな折、政府は6月3日、「脱炭素社会に向けた住宅・建築物における省エネ対策等のあり方・進め方」の素案に、「公共建築物への太陽光発電システム設置を原則標準化」という項目の追加を検討していることを発表しました。
今回は、ここで挙げられている「公共建築物」とは一体どのような建物なのか、「標準化」は「義務化」と一体何が違うのかなどについて解説していきます。

賛否を集めた小泉環境相の「太陽光発電義務化」発言

冒頭で述べた気候変動サミットの開催後、小泉環境大臣は「新築住宅やビルへの太陽光発電システムの設置義務化を視野に入れるべき」と発言し注目を集めました。
これを受け、国土交通省や環境省により2021年4月に立ち上げられた「脱炭素社会に向けた住宅・建築物の省エネ対策等のあり方検討会」では、太陽光発電システムの設置義務化を課題の一つとして扱うことになりました。

しかし4月28日に行われた第二回目の検討会では、ハウスメーカーや不動産デベロッパーなどの多くの団体が太陽光発電システムの設置義務化に対して反対の声を挙げています。
賛否それぞれの意見としては、次のようなものがあります。

【賛成意見】
・ZEHやZEBの普及も進んでいるため、せめて新築住宅には義務化をするべき
・消費者側の選択を待っていてはせっかくの住宅屋根を活かせないので義務化すべき
・発電条件によって義務化レベルを変更するなど、義務化の中にも様々な選択肢を提示すれば良いのではないか

【反対意見】
・義務化することで個人が負うことになるリスクを考慮すべき
・地域や立地によって発電効率に差が出る
・新築を建てるハードルが上がり住宅取得率が下がる
・FIT法による買取価格が減少しており、設置しても採算ベースに乗るか分からない

他にも様々な意見が挙がりましたが、総じて反対意見の方が多く、中でも「まずは公共建築物への設置を進めるべき」との声が多かったため、住宅に先んじて公共建築物への太陽光発電システム設置標準化が進められる運びとなりました。

なぜ「義務化」ではなく「標準化」?

住宅の太陽光発電システム設置義務化に対する反対の声が多数挙がったことから、一先ずは公共建築物への設置のみ標準化となりましたが、ここで気になるのは「何故義務化ではなく標準化なのか」という点ではないでしょうか。
その理由は、「太陽光発電システム設置を義務化するとなると、より緻密かつ丁寧な制度設計をする必要が生じるから」です。

しかし制度設計に時間をかけてしまうと、「2030年までに脱炭素化を46%達成」という目標の達成が厳しくなる可能性があるため、一先ずは標準化を目指す方向で目標設定されました。
今後は公共建築物への太陽光発電システム設置が普及していく一方で、義務化に向けた取り組みもより具体的に進められていくと考えられています。

公共建築物の基準

公共建築物とは、「国や地方公共団体などの公的機関が所有している建築物」のことです。
具体的には、学校、役所、病院、事務所、倉庫などが公共建築物に該当します。

そんな公共建築物ですが、一体一年間でどれだけ建設されているのでしょうか。
政府統計の総合窓口(eStat)が行った2020年度の建築着工統計調査では、以下のような結果が出ています。

公共建築物合計(民間建築物含む)
住宅1,611458,964
居住産業併用建築物605,325
産業用建築物8,30069,517
事務所71310,312
店舗495,059
工場・作業場1056,244
倉庫99014,953
学校(校舎)1,1121,727
病院・診療所1121,752
その他5,21929,470
合計9,971533,806

調査結果を見ると、公共建築物はそうでない建築物に比べて、かなり少ないことが分かります。

また、公共建築物は着工数自体年々減少傾向にあります。
以下が、過去5年間における着工数の年別データです。

公共合計
201514,528587,153
201613,606609,535
201712,939604,503
201811,973598,154
201911,145599,353
202010,203534,747

公共建築物の着工数が減少する一方で、日本国内における温室効果ガス排出量の約3割を占めているのは、住宅やオフィスなどの民間建築物であることが分かっています。

「2030年までに46%達成」を実現するためには、わずかな公共建築物に高効率な太陽光発電システムの導入を徹底するだけではなく、民間建築物に対してもより踏み込んだ対策が必要であると考えられています。

建築物における具体的な脱炭素対策

ここからは、住宅や建築物における脱炭素対策として現在挙げられている具体的なポイントについて解説していきます。

まず、太陽光発電システムの設置義務化を現時点では見送った新築住宅においては、省エネ基準の適合を義務化するなどの対策が検討されています。
新築住宅における省エネ基準には、以下のものがあります。

・高断熱材の活用
・高効率な空調の導入
・LED照明の導入


国土交通省の試算によると、平均的な戸建て住宅がこれらの基準を満たすためには、10~11万円の追加費用が必要になると考えられています。
そのため少しでも個人の負担を減らすべく、政府は補助金制度などの導入についても模索しています。
また、ビルなどの大規模な民間建築物には、省エネ基準の引き上げや脱炭素に向けた取り組みの促進などが検討されています。

一方で太陽光発電システムの設置が標準化される公共建築物においては、最大で1900万kWの設備が導入できると推計されているため、既存新築問わず設置を加速していくことが目指されています。
さらに建築物全般における省エネ基準の段階的な引き上げも視野に入れ、規模や用途に沿った水準を探っていく方向で検討されています。

これに関しては、まずは省エネ化がいち早く進んでいる大規模建築物から基準が厳しくなっていくと予想されています。
省エネ性能の表示制度も制定し、住宅販売や賃貸業などの事業者に向けて、物件の省エネ性能を開示する制度を導入するという案も出ています。

住宅への太陽光発電システム設置義務化のカギとなるのは「PPAモデル」?

今回は見送られた住宅への太陽光発電システム設置義務化ですが、賛成派の中には「PPAモデルが普及すれば義務化も可能になるのではないか」という意見も出ています。

PPAモデルとは、「需要家の所有する建築物の屋根や敷地に太陽光発電システムをPPA事業者が無償で設置し、発電した電気を需要家自身が購入するビジネスモデル」のことです。
需要者は使用した電気の料金をPPA事業者に支払いますが、再エネ賦課金や燃料調整費が発生せず、初期費用やシステム費用なども負担せずに済むため、電力コストを削減しながら再エネを使えるというメリットがあります。

このPPAモデルは現在アメリカを中心に普及が進んでいますが、日本ではまだ本格化しておらず、実施していても法人向けのみとなっているのが現状です。
しかし、もし日本にもPPAモデルが普及した暁には、より多くの人が気軽に太陽光発電システムを設置できるため、個人に負担を強いることなく住宅への太陽光発電システム設置を義務付けられるのではないかという考えもあります。

まとめ

今回は、公共建築物への太陽光発電システム設置標準化を軸に、脱炭素化に向けた様々な対策などについて解説していきました。
今後は公共建築物に限らず、住宅への太陽光発電システム設置標準化もしくは義務化も進められていくと考えられますが、いざ設置するとなると初期費用やメンテナンス費用など、様々なことが気になるものです。

当社では多くの人が無理なく安心して太陽光発電システムを設置できるよう、低価格かつ高品質な製品の販売及び丁寧な施工を常に心掛けています。
住宅用太陽光発電システムについて少しでも気になることがありましたら、どうぞ当社までお気軽にお問い合わせください。

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