開発途上国における太陽光発電システム普及事情

太陽光発電

太陽光発電事業に関しては、しばしばアメリカ、中国、ヨーロッパ、北欧等といった先進国を中心に語られがちですが、近年では東南アジアやアフリカ等に位置する開発途上国においても、太陽光発電システム普及に向けた動きは徐々に活発なものとなりつつあります。
その中には自国の豊富な太陽光資源を活かすべく大規模なメガソーラー建設プロジェクトに乗り出す国もあれば、一方で資源に恵まれているにも関わらず様々な理由により普及が難航している国もあります。

今回は3つの開発途上国に焦点を当て、それぞれの国における太陽光発電システムの普及事情について見ていきたいと思います。

インドネシア

首都ジャカルタ

かねてよりインドネシアでは環境問題について活発な議論や取り組みが展開されており、その中でも太陽光発電事業は、インドネシアの持つポテンシャルを最大限活用できる再エネ事業として注目を集めていました。
そのポテンシャルの高さとは、ずばり「日照量の多さ」です。
赤道直下に位置するインドネシアでは緯度の高い日本等の国に比べて日照量が格段に多く、1日当たりの平均照射太陽熱エネルギーは、4800kWh/平方メートルにまで達することが分かっています。
これをインドネシア国土の総面積を用いて計算すると、なんと合計500GWにも及ぶ太陽光エネルギーを収集できるポテンシャルを有していると概算できます。

また、インドネシアは複数の島から形成される島嶼国(とうしょこく)であるという地理的特性から、国が管理する大規模な発電所等から各家庭へ送電する「集中型システム」よりも、家庭や周辺地域ごとに太陽光発電を行い、その特定地域のみで電力消費をする「分散型システムの方」が好まれる傾向にあります。

このような背景から、インドネシアでは太陽光発電システムの導入が活発に行われているかと思いきや、実は現在インドネシアの太陽光発電容量は後述するタイやフィリピンといった他のASEAN加盟国に比べて格段に少なく、まだまだ太陽光発電事業においては大きな遅れをとっている状況です。

その理由の1つには、「BOOT政策」が挙げられます。
この政策では、「すべての太陽光発電所は最終的に公共部門へ所有権を移転しなければならないこと」と定められていますが、これにより民間部門における太陽光発電事業への投資意欲は削がれてしまうことになりました。
また、インドネシアではソーラーパネルは比較的安価な輸入品ではなく「現地生産品」が強く推奨されているため、建設コストが高額になってしまうという点も理由として挙げられます。

他にも様々な理由はあるものの、一番は「インドネシア政府が太陽光発電事業の拡大に対し控えめな態度を続けている」という点が大きいでしょう。
インドネシアがポテンシャルを活かしさらなる太陽光発電事業の普及を実現させるためには、まずは行政上の課題を一つ一つ解決していくことが望ましいと言えます。

フィリピン

首都マニラ

フィリピンでは2012年よりFIT法が施行され、2014年頃より本格的に太陽光をはじめとした再エネ発電システムの導入が行われるようになりました。
特に太陽光発電システムの建設には日本企業が関わることも多く、例として2016年に実施されたマニラ首都圏内の5ヶ所に計640kWのシステムを設置するプロジェクトには、日本の施工会社であるタカオカ・エンジニアリング株式会社が携わっています。
また2020年には、ブラカン州におけるメガソーラー発電所プロジェクトに出光興産株式会社が参画することが表明されています。

このようにフィリピンにおける再エネ事業が活発化している背景には、「フィリピンにおける停電発生率の高さ」があります。

基本的にフィリピンでは月に1回、多い時は月に5回は停電が発生するため、かねてより突然の停電時にも左右されない電力の確保が求められていました。
また、フィリピンの電気料金はアジアの中でも高く、まだまだ一般市民の多くは年収の5分の1を電気料金に充てているのが現状です。
そのため、電気料金にかかる負担をなるべく抑えるためにも、太陽光発電システムの導入に力を入れているというわけです。
フィリピンはインドネシアと同様に日射量が多く、太陽光発電に非常に適しているため、電力の確保及び電気料金の軽減をはかる方法として太陽光発電が注目されたのは、自然な流れだったと言えるでしょう。

近年、日本では売電価格が下がったことや自然災害が多発していることを受け、「売電型」に代わって「自家消費型」が太陽光発電における運用方法の主流となりつつありますが、フィリピンでは前述した停電や電気料金等の理由により、設備の導入当初から自家消費型が前提となっていました。
そのため現在では、太陽光発電システムと併せて蓄電池を設置するフィリピン企業も多くなっているそうです。
これらのことから分かる通り、いまやフィリピンにおいて太陽光発電システムは、電力インフラを支える重要なファクターとなっています。

タイ

首都バンコクの寺院

一部ではもはや開発途上国ではなく「新興国」と呼ばれるほど著しい経済成長を遂げているタイは、今回紹介する3つの国のうち最も太陽光発電事業に力を入れている国だといっても過言ではありません。
2010年に太陽光発電の累積導入量が2GWを達成して以降、市場の成長スピードは年々上昇の一途を辿っています。
そしてこの流れを受け、タイ政府は2015年に「2036年まで累積導入量を6GW達成する」という目標を掲げ、2017年には「2036年までに17GW達成」と上方修正しています。

このようなタイ国内における太陽光発電需要の高まりを後押ししているのが、投資奨励策等に取り組んでいる「タイ国投資委員会(BOI)」の存在です。
BOIは、製造業、農業、サービス業において生産効率向上を目指しているプロジェクトの支援に力を入れています。
実施されているプロジェクトには、次のようなものがあります。

・省エネ設備の設置及び再生可能エネルギーの使用
・環境影響軽減のための機械代替及びアップグレード
効率向上のための機械自動化及びデジタル化
国際的農産業基準取得のための製造ラインアップグレード

これらの投資プロジェクトの中で、2020年上半期に最も投資恩典申請数が多かったのが太陽光発電システムの設置プロジェクトでした。
その後も申請件数は増え続け、当初は2020年12月30日が申請期限となっていたのが2年延長され、結果的に2022年末まで申請が可能となりました。
こういった動きから、タイにおける太陽光発電システム需要はまだまだ続くと考えられています。

また、フィリピン同様タイにおける太陽光発電プロジェクトには日本企業も積極的に関わっています。
その中でも当社は1つのプロジェクトのみに携わるのではなく、2015年9月30日にタイの不動産仲介大手センチュリー21(タイランド)と合併会社「ヨコハマ・ホールディングス・エナジー(タイランド)(以下、yhe)」を設立し、タイで太陽光発電システムの販売を行っています。
販売に限らず施工も行っており、現地TOYOTAをはじめとした各社ディーラー社への設置を皮切りに、発電した電力を自己消費する工場に多数の設置工事を行っております。
規模は一件あたり100kW~3MWとなっており、5年弱でなんと約17MWの太陽光発電システム設置を実現させています。

yhe設立前に日本で施工研修を受けたタイ人スタッフや、実績のある日本人派遣スタッフ達により、設立以来高い技術力を保ち続けています。
日本が誇る高い施工技術、東芝製のモジュール、日立製のインバーター等といった高品質な日本製品を自信を持ってアピールした成果により、設立から現在まで多くのご好評の声をいただいています。

まとめ

今回は、開発途上国における太陽光発電の普及事情を3つの国から見ていきました。
まだまだ国ごとの政策等の見直しの必要性はありつつも、太陽光発電をはじめとした再エネ事業は着実に世界中で拡がり続けているということが分かりましたね。

日本の再エネ事業も遅れを取らないよう、当社としても太陽光発電システムの普及に今後とも尽力してまいりたいと思います!

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