SDGs達成のカギとなる「ESG」とは?意味やSDGsとの違いを徹底解説!

SDGs

気候変動の深刻化による世界的な環境意識の向上を受けて、さまざまな業界のさまざまな企業がSDGs達成に力を入れている昨今。
そんな中で注目を集めているのが、「ESG」および「ESG投資」の存在です。
今回は、ESGとは一体何なのか、SDGsとの関連性やメリット、デメリットなども含めて解説していきます。

ESGの意味

ESGとは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス)の頭文字を合わせた言葉となっており、主に投資家が投資先を決める際の指標のひとつとして提唱されているものです。

企業のESGへの取り組み具合に注目して行う投資のことを、「ESG投資」と言います。
ESGの要素として挙げられる具体例には、以下のようなものがあります。

【Environment(環境)】
・自然生態系や生物多様性の保護
・気候変動への対策や緩和策の実施
・CO2をはじめとした温室効果ガス削減
・水を含む資源枯渇問題への対応 など

【Social(社会)】
・人材開発の実施
・地域社会との関わり
・ダイバーシティ(多様性)の実現
・雇用条件や労働環境の改善 など

【Governance(企業統治)】
・企業コンプライアンスの遵守
・情報の透明性を保持
・第三者視点での監視体制の設置
・役員会の独立性の確保 など

従来の株式市場では、企業の財務情報を重視した投資方法が一般的でした。
しかし2015年のSDGs策定などの影響により、近年では財務情報よりも、気候変動や社会問題といった非財務情報を重視する投資家が増えています。
いまやESGは投資家にとって、企業を評価するための重要な指標となりつつあるのです。

ESGとSDGsの関係

ESGとSDGsは、「共通の課題」を「別の視点」から捉えた言葉だと言えます。

まずSDGsとは、2015年に国連が策定した「2030年までの達成を目指す持続可能な17の開発目標」のことで、持続可能な社会の実現に向けて、国、地方自治体、企業、個人のすべてが取り組むべき目標を設定しています。
企業にとってSDGsに取り組むことは、企業価値や利益の創出につながることだと考えられています。

一方のESGは、主に企業経営における課題となっています。
ESGを重視することは、株主、顧客、従業員、仕入先、地域社会などといった「ステークホルダー」への配慮であるとともに、企業の長期的な成長を促すための経営戦略であると言えます。

それぞれ異なる視点から生まれた言葉とはいえ、根本の目標は共通しているため、企業がESGに配慮した経営を展開すれば、結果としてSDGsの目標達成につながっていくと考えられています。

ESG投資における7つの手法

ESG投資における投資先の選定方法には、大きく分けて7通りの手法があります。
ここでは、国際団体の「世界持続可能投資連合(GSIA)」が発表した7つのESG投資手法を紹介します。

ネガティブ・スクリーニング

投資先の選定においてESGの基準を満たさないと考えられる要件を予め特定し、該当する事業を展開している企業を投資先から外す手法です。

この投資手法は約100年前から存在しており、従来は宗教的、倫理的視点から武器、たばこ、アルコール、ギャンブルなどに関連する企業が除外される傾向にありました。
しかし、近年では化石燃料や原子力発電など、環境破壊に間接的にでも加担している業界や企業も投資先から外される動きが進んでいます。

ポジティブ・スクリーニング

ESG関連の事業に積極的に取り組んでおり、外部からの評価も高い企業を投資先として選定する手法です。
ネガティブ・スクリーニングが消去法で投資先を選ぶ手法だとすれば、ポジティブ・スクリーニングはESGの観点において、より評価の高い企業をピックアップする手法だと言えます。

ポジティブ・スクリーニングで投資先を選定する際には、企業が開示する「サステナビリティ・レポート」や「統合報告書」といった非財務情報や、外部機関が公開している「ESG指数」や「サステナビリティ格付け」などが活用されます。

国際規範型

環境保全や人権擁護といったESG関連分野における国際規範をもとに、基準を満たしていない企業を投資先から除外する手法です。
場合によって、前述したネガティブ・スクリーニングはこの国際規範型に含まれることもあります。

国際規範は、経済協力開発機構(OECD)や国際労働機関(ILO)が定める規範などさまざまですが、その中でも代表的なのは国連が定めた「国連グローバル・コンパクト(UNGC)」です。
このイニシアチブは、環境、人権、労働などに関する10の原則で構成されています。

ESGインテグレーション型

経営成績などの財務情報と、非財務情報であるESGの視点を組み合わせて投資先を選定する手法です。

特定の投資先を除外またはピックアップするネガティブ・スクリーニングやポジティブ・スクリーニングと違い、ESGインテグレーション型は総合的に評価するための判断材料としてESGの視点を加えている点が特徴です。
近年では、ネガティブ・スクリーニングに次いで幅広く普及している手法となっています。

サステナビリティ・テーマ投資型

ダイバーシティの実現や環境保全など、サステナビリティな活動をテーマに掲げた企業を投資先として選定する手法です。
具体的には、再生可能エネルギー事業や循環型農業などに取り組んでいる企業が投資対象となります。

インパクト投資型

経済的リターンと並行して、社会や自然環境にポジティブなインパクトを与える事業を展開している企業に注目して投資する手法です。

インパクト投資を行う投資家は、経済的リターン以上にインパクトを重視しているパターンもあれば、経済リターンとインパクトの両方に期待をかけているパターンもあります。
インパクト投資は、言うなれば「社会問題解決に向けた民間資金の活用」であるため、「投資型のクラウドファンディング」という見方もあります。

エンゲージメント・議決権行使型

ここで言うエンゲージメントとは、企業がESGに取り組むよう、株主から積極的に持ちかけることです。

一方で議決権とは株主が持つ共益権の1つであり、議決権を行使した場合、株主は株を保有している企業の経営に参画できるというものです。
議決権行使はエンゲージメントに含まれる場合もありますが、エンゲージメントが建設的な対話であるとすれば、議決権行使はさらに踏み込んだ株主の意見表明だという見方もあります。

過去には株主と経営陣の意見の相違によってトラブルに発展したケースもありましたが、近年では株主の責任として、議決権行使を求める声も多くなっています。

ESG投資のメリット・デメリット

メリット

ESG投資のメリットは、ESGに関係するSDGsの基本概念である「持続可能な社会の形成」に投資を通じて貢献できる点が挙げられます。

持続可能な社会の実現は、企業の活動や資金だけで達成するには限界があると考えられています。
しかし投資家がESGを重視した投資を行えば、ESGに積極的な企業の取り組みを後押しすることができます。

持続可能な社会の実現に向けて取り組むことは企業の経営基盤を固めることにもつながるため、ESG投資によって投資を受けた企業は、結果的に安定した事業を継続できると考えられています。
一方の投資家サイドも、企業の経営が安定することで投資リスクを低減することができるため、安心して長期的な資産形成を行うことができます。

デメリット

ESG投資のデメリットは、短期的な投資による経済リターンはあまり期待できない点が挙げられます。
ESGに配慮する企業は、短期的な収益よりも長期的な持続可能性を優先する傾向が強いため、短期間の運用でスピーディに収益を得るのは難しいと言えるでしょう。

また前述したように、従来の投資では主に企業の財務情報が投資の判断材料となっていましたが、ESG投資の場合、数値化されていない取り組みについてもチェックする必要があります。
環境問題や持続可能性への配慮を取り繕う「グリーンウォッシュ」や「SDGsウォッシュ」が度々問題になっていることから分かる通り、ESGへの積極性をアピールしながらも、実際にはまったく取り組んでいない企業というのも残念ながら存在します。

投資先の企業は本当にESGに配慮しているのか、今後持続可能性の実現に貢献する可能性はあるのかという点については、しっかり見極めるべきだと言えるでしょう。

まとめ

SDGs時代の新たなトレンドとして注目を集めるESG投資ですが、その歴史はまだまだ始まったばかりです。
ESG課題に対する企業の姿勢、それを見定める投資家の選別眼は、今まさに問われる局面を迎えていると言えるでしょう。

参考URL:経済産業省「ESG投資」

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