SDGsの「やってるフリ」が続出!?「SDGsウォッシュ」の問題点とは

SDGs

SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)が2016年1月にスタートしてから、今年で5年目を迎えました。
日本では政府が2016年12月に「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針(2020年に改定)」を発表し、2017年11月には日本経団連がSDGsを踏まえて「企業行動憲章」を改定しています。

それ以降、自治体や民間企業によるSDGsへの取り組みは進んでいるように見えますが、一方でSDGsに取り組んでいる「フリ」をしているだけの自治体や企業も増えているのが実状です。
このように、うわべだけでSDGsに取り組んでいるように見せるスタンスは、「SDGsウォッシュ」と呼ばれ近年問題視されています。

今回は、一体どのような行為がSDGsウォッシュに該当するのか、そしてSDGsウォッシュだと思われないために押さえておくべきポイントなどについて解説していきます。

SDGs以前から問題視されていた「グリーンウォッシュ」

SDGsがスタートするよりも前から、環境分野では「グリーンウォッシュ」という言葉が使われていました。
これは、「環境に配慮する」という意味を持つ「グリーン」と、「うわべだけ飾り立てる」「白塗りでごまかす」などの意味をもつ「ホワイトウォッシュ」を合わせて作られた造語です。
環境問題への関心が世界的に高まり始めた1980年代、本気で環境問題に取り組むつもりは無いにもかかわらずイメージアップを狙って「環境に配慮していますアピール」をする企業などに対し、批判の意を込めて使われるようになったのが始まりです。

具体的には、以下のような行為がグリーンウォッシュだと言われています。

実態がないのに環境へ配慮しているように見せかける
・自社の事業やサービスとは一切関連性のない写真や絵(森林や海洋など)を使ったPR活動を行う
・広告や報告書などで根拠を一切示さずに「エコ」「環境に優しい」などの表現を使う

実際の取り組み以上に環境に配慮しているように見せかける
・緑化活動のみを行っているにもかかわらず「海洋環境の保全」にも取り組んでいると公表するなど

不都合な真実を伝えず、自社にとって都合の良い情報のみを公表している
・環境に悪影響のある事業は隠し、環境に配慮した取り組みだけを強調するなど

このように、グリーンウォッシュとは企業による環境活動の実態を正確に公表しない、または誇張する、誤解を与えるなどの行為全般を指します。

SDGsウォッシュに該当するのはどんな行為?

近年では、グリーンウォッシュと同じ文脈で「SDGウォッシュ」が使われるようになっています。
グリーンウォッシュと同様、SDGsに本格的に取り組むつもりは無いにもかかわらず、自社のイメージアップや消費者への訴求のためだけに、うわべだけでSDGsに取り組んでいることをアピールすることを指しています。

例えば、SDGsのロゴや17ある目標のアイコンを自社HPに表示しているだけで実際は何もしていないという行為は、SDGsウォッシュに該当します。
また、外見上SDGsに関連がありそうなだけの自社製品やサービスに、17の目標を紐付けるだけで取り組んでいるように見せる事例も指摘されています。
もちろん自社事業と関連性の高い目標を紐づけることは、SDGsに取り組む上で重要です。
しかし問題は、「SDGsのアイコンをHPに貼り付けただけで、SDGsに参加しているような気分になっている企業」があまりにも多いことです。

SDGsウォッシュと言われないためには

SDGsウォッシュに該当する事例などを紹介していきましたが、現時点ではSDGsウォッシュを判断する明確な基準が定められているわけではありません。
また、国や地域、意識や宗教、社会の風潮などによってSDGsウォッシュの基準は変化すると考えられています。
それでも、消費者や取引先企業から「それはSDGsウォッシュではないか」と一度指摘されてしまうと、企業のイメージダウンや各方面からの信頼を損なうなど、企業価値を落としてしまうリスクがあることは言うまでもありません。
SDGsウォッシュだと認識されないためには、いくつかのポイントを押さえておくことが大切です。
ここでは、中でも重要なポイントについて紹介していきます。

SDGsの内容をしっかり理解する

SDGsに取り組むということは、目標である「17のゴール」とその達成に向けた手段である「169のターゲット」のいずれかに取り組み、SDGsの実現に貢献するということです。
そのため、SDGsと自社の活動を紐づけようと思ったら、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」の内容を確認し、17の目標だけでなく、169のターゲットも含めて理解する必要があります。
当然のことではありますが、意外にもここをおざなりにしてしまう企業は少なくありません。
無意識にSDGsウォッシュしてしまう前に、SDGsの本質的な目標をしっかり確認しておきましょう。

自社の事業がどの目標に貢献できるかを明確にする

SDGsに取り組む際には、自社の事業やサービスなどが一体どの目標、あるいはターゲットの達成に貢献できるか、または既に貢献しているかを明確にする必要があります。

その際、貢献度の測定方法もあわせた情報を開示すればより信頼性が高まるため、企業向けのSDGs導入指南書である「SDG コンパス:SDGsの企業行動指針」を活用してバリューチェーン分析などを行い、SDGsへの貢献を経営に統合することをお勧めします。

他に、大手企業向けであるUNGC、監査法人KPMG作成の「SDGs Industry Matrix:業種別SDGs活用の手引き」や中小企業向けである環境省作成「持続可能な開発目標(SDGs)活用ガイド」を活用して、自社の取り組みに落とし込む方法も効果的です。

困った時は「SDGsコミュニケーションガイド」をチェックしよう

最後に、情報発信の際には、電通作成の「SDGsコミュニケーションガイド」をチェックしておくことをお勧めします。
SDGsウォッシュに関する項目には、以下のような内容が記されています。

➀根拠がなく、情報源が曖昧な表現を使わない
・根拠となる資料の信頼性が低い、あるいはそもそも検証材料が無いなど


②事実を歪曲した表現を使わない
・実際の取り組みよりも内容を大きく誇張して訴求したり、小さな取り組みを大々的な取り組みのように取り上げるなど
・法律で元から規制されている事項を、自主的な取り決めかのように表現するなど

曖昧な表現を使わない
SDGsへの具体的な取り組みが掴みにくいコピーワークなど

④事実と関係のないビジュアルを使用しない
・SDGsへの配慮の事実が無いにもかかわらず、貧困、環境、教育などに関する写真でSDGsイメージの付与や増幅を行うこと

これらのポイントを押さえておくことが、誤解を与えない発信につながります。
より詳しく知りたい場合は、SDGsコミュニケーションガイド(電通作成)」をチェックしてみてくださいね。

正しくSDGsに取り組むことが本当の「企業価値創出」に!

SDGsウォッシュを行う企業の多くは自社の企業価値創出を狙っていますが、前述したように「あの企業はSDGsウォッシュを行っている」と認識されてしまえば、かえって企業価値を落としてしまうことになります。
ここまで紹介したポイントを踏まえた上で、SDGs達成に向けた取り組みを実際に行う方が、確実な企業価値創出、ひいては市場価値創出につながると言えるでしょう。
また、「世界が抱えるSDGsという課題を、自社の取り組みとして2030年までにどう解決するか」
について考え、事業戦略として落とし込んでいくことが「SDGsウォッシュ」を回避するポイントとなります。

まとめ

今回は、SDGsウォッシュとは一体何かについて、回避方法なども交えながら解説していきました。
SDGsウォッシュが増えると、巡り巡ってSDGs自体の信頼性が落ちてしまう可能性もあります。
より良い世界をつくるためにも、SDGsに取り組む際には真摯な姿勢を心掛けることが大切ですね。

SDGs
読者登録・解除フォーム
読者登録をすると、更新情報をメールで受け取ることができます。


 

登録ボタンを押すと確認メールが届きますので、メールのご確認をお願いいたします。
お問い合わせ
太陽光発電・蓄電池等のご購入に興味のある方はこちらからお問い合わせください。
太陽光発電のお問い合わせ
蓄電池のお問い合わせ
太陽光発電最安値発掘隊
タイトルとURLをコピーしました