生ごみのイヤなニオイ処理&肥料づくりに大活躍!「コンポスト」の役割と種類を大紹介

エコな取り組み

今年の夏も連日猛暑日が続いていますが、そんな夏の悩みの一つといえば「生ごみの処理」ですよね。
ただでさえニオイが気になる生ごみは夏になると暑さでより一層強いニオイを放つため、「指定されたゴミの日までは一時的に冷蔵庫に入れる」などの対策を取っている人も多いのではないでしょうか。
それでも毎回冷蔵庫に入れていては場所も取る上に、うっかりごみの日に出し忘れてしまった…なんてことも起こり得ます。

そんな面倒な生ごみ処理にオススメなのが、「コンポスト」です。
コンポストを使えば快適に生ごみの処理を行えるだけでなく、環境改善に貢献することもできます。
今回は「コンポストとは何か」「どんな種類があるのか」「コンポスト以外の生ごみ処理機にはどんなものがあるのか」「お得に買う方法はあるのか」などについて、詳しく紹介していきたいと思います。

コンポストとは

コンポスト(compost)とは「堆肥(たいひ)」のことで、日本では生ごみ処理容器の名称、もしくは堆肥をつくる行為自体を指す言葉として知られています。
家庭から出る生ごみや枯れ葉などの有機物をコンポストに入れると、微生物がそれを分解し、堆肥に生まれ変わらせることができます。
コンポストでつくった堆肥は肥料としての効果の他に、土壌の性質を豊かで良質なものに改善する土壌改良剤としての力があると言われています。

実はこの「生ごみを堆肥にする」という行為は、日本では古くから受け継がれている大切な知恵の一つとなっています。
「江戸時代は「エコ時代」だった?現代にも活かせる暮らしのヒントを学ぼう」でも述べたように、かつての日本では人と自然が共生する循環型社会が実現していました。
また、いまや世界共通語となった「もったいない」という言葉の通り、生ごみや糞尿なども一切無駄にすることなく、自力で堆肥にして稲作に活用していました。

その後、戦後経済成長していくにつれ次第に都市化が進み、人口増加に伴い化学肥料や農薬を使った効率重視の農業が広まると、ごみは各家庭で再利用されることなく、まとめて焼却される処理方法が一般的となりました。
しかし、2000年代以降は再び循環型社会への取り組みが重視されるようになり、それに伴いコンポストへの注目も高まったことで、近年では各自治体によるコンポスト普及事業も積極的に行われるようになっています。

コンポストが実現する「小さな循環型社会」

この世界には多種多様な微生物が存在しており、空気、土、水、そして私たちの体内など、身の回りのさまざまなところで暮らしています。
土がつくられたり水が浄化されたり、醤油、チーズ、お酒、納豆などの食品をつくることができるのも、すべては微生物の働きがあるからです。
それは、コンポストにおいても同様です。
コンポストの中には沢山の微生物が混在しており、それぞれが同時に活動することで、自然界よりもかなりスピーディーに堆肥化が進む仕組みとなっています。

自然界では微生物や小動物の働きによって、有機物は時間をかけてゆっくりと土に還ります。
そのため1cmの土がつくられるには、少なくとも100年は要すると言われています。
また、農作において野菜や穀物などを育てて収穫するのを繰り返していると、土に含まれる栄養素は作物に吸収され、徐々に減っていきます。

その点、コンポストを活用して自作した堆肥を土に加えれば、効率的に土に栄養を与えることができます。
私たちが排出する可燃ゴミのうち約40%は、生ごみが占めていることが分かっています。
この生ごみを捨てず堆肥づくりに活用すれば、それだけで自分たちの手で「小さな循環型社会」を実現することができるのです。

コンポストを使用するメリット

ここでは、コンポストを利用することで生じる様々なメリットについて紹介していきます。

➀家庭へのメリット

・生ごみを捨てるまでの臭い対策の手間が省ける
・生ごみ処理に使う袋が必要なくなる
・栄養豊富な堆肥を手軽につくることができる
・堆肥を家庭菜園に活用できる
・自家栽培した野菜や果物には自作の堆肥を使っていることを分かっているので安心して食べられる
・堆肥づくりを通じて自然や環境問題に関心を持てるようになる

②地域・環境へのメリット
・家庭ごみの量が減ることで、自治体がごみを処分する際に必要な手間、燃料、費用を間接的に減らせる
・ごみの焼却量が減ることで、排出される二酸化炭素の量も削減することができる

このように、コンポストを使えば自分自身や家庭だけでなく、地域や環境といった幅広い範囲に良い影響をもたらすことができます。

どんな種類がある?

ここでは、いくつかあるコンポストの種類について紹介していきます。
コンポストの購入を検討されている方は、それぞれの特徴を比較した上でご家庭に合ったタイプを選ぶことをオススメします。
それでは、一つずつ見ていきましょう。

➀ダンボールタイプ
ダンボールタイプのコンポストは、リーズナブルかつ簡単に組み立てられる点が特徴です。
ダンボールに資材と生ごみと入れてよく混ぜて3週間ほど待てば、堆肥ができあがります。
設置場所は庭もしくはベランダが適しており、2カ月~半年ごとの交換が推奨されています。

②密閉タイプ
蓋つきの密閉容器に生ごみと「ぼかし」と呼ばれる発酵促進剤もしくは米ぬかを入れ、生ごみを発酵させます。
この容器内では生ごみは分解されないため土に埋めて一ヶ月ほど分解させる必要があり、また人によっては不快に感じる強い発酵臭を発するため、使う際は注意が必要です。

③設置タイプ
庭の土を掘り、容器の下部分を埋めるタイプのコンポストです。
生ごみの他に雑草や枯れ葉を入れることもでき、2~3ヶ月の熟成で堆肥をつくることができます。

④回転タイプ
名前の通り容器ごと回転させることで、効率よく酸素を回し、中に入れた生ごみをムラなく堆肥化してくれます。
ただし丁寧に扱わないと壊れてしまうことがあるので、取り扱いには注意が必要です。

⑤ミミズタイプ
容器の中に入れたミミズが、生ごみを食べて分解するのを利用して堆肥をつくるコンポストです。
ただしミミズは柑橘系が苦手なため、みかんの皮などの生ごみは入れることができません。
また、「そもそもミミズが苦手」という人は決して選ばないように注意しましょう。

⑥電動タイプ
電気を使って生ごみを乾燥させ、スピーディーに堆肥や炭をつくることができます。
コンパクトなものが多く使用方法も簡単ですが、他のコンポストが3,000~1万円であるのに比べて電動タイプは3万円前後と高額な点がデメリットとなっています。

コンポストをお得に買うには

自治体によっては家庭から排出されるごみの量を減らすため、コンポストを含む生ごみ処理機の購入費用の一部助成を行っている場合があります。
具体例として、港区の助成内容を見てみましょう。

【対象世帯】
➀区内に住所を有し、生ごみ処理機等購入日から6か月以上区内に居住する予定であること
②生ごみ処理機等を購入し、区内で継続して使用できること
②過去3年以内にこの要綱による助成金の交付を受けたことがないこと
④助成金の交付申請時において、生ごみ処理機等を購入した日から3ヶ月を経過していないこと

【対象機種】
➀家庭用生ごみ処理機(ディスポーザー式のものを除く)
②コンポスト容器
※基本的に中古品は対象外

【助成金額】
一世帯につき、1台の生ごみ処理機等本体の購入費用(消費税込み)の2分の1(100円未満切捨て)で、「20,000円」を上限とする。
※ポイント利用など割引があった場合は、割引後の金額が助成対象金額となる。
※申請年度の申請額累計が予算額を超えた場合は受付終了

(引用元:港区HP
「うちの地域では助成しているのかな?」と気になった場合は、一度各自治体のホームページを確認することをお勧めします。
港区同様に予算額を超えると助成を受けられなくなる場合もあるので、コンポストを購入したいと思ったら自治体のホームページはこまめにチェックしておくようにすると良いかもしれません。

まとめ

今回は、生ごみを処理し堆肥として再利用することのできるコンポストについて紹介しました。
家庭ごみを減らすためにも環境問題への関心を持つためにも、これを機に是非購入を検討してみてはいかがでしょうか。

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