「ソーラーシェアリング」が気になる!仕組みやメリットなどをチェックしよう

太陽光発電

ルームシェアやカーシェアリングなど、近年では何かにつけて「シェアすること」が浸透しつつありますが、太陽光発電の分野にも「ソーラーシェアリング」という運用方法があることを知っている人は意外と少ないのかもしれません。
ルームシェアであれば部屋を、カーシェアリングであれば車を共有することは容易に想像できますが、ソーラーシェアリングの場合は「一体何をどう共有するの?」と思っている人が多いのが現状です。
そこで今回はソーラーシェアリングの基本的な意味から、実践するための費用、そして実例までをチェックしていきたいと思います。

まずはソーラーシェアリングの意味を知ろう

ソーラーシェアリングは別名「営農型太陽光発電」とも言い、その名の通り「農業と太陽光発電システムの運用を両立させて行うこと」を指します。
ルームシェアやカーシェアリングは「一つの部屋または車を複数人で共有すること」であるのに対し、「一つの場所を共有して農業と太陽光発電の運用を行うこと」がソーラーシェアリングだと考えれば分かりやすいかもしれません。

肝心となる場所の共有方法ですが、一般的には農地に立てた支柱などの上にソーラーパネルを設置する方法がとられています。
このソーラーパネルで集めた太陽光は、農業生産と発電の両方に役立てられます。

今後ソーラーシェアリングを導入する農家がさらに増えていけば、再生可能エネルギーの普及およびエネルギーの地産地消に繋がると考えられています。
また、衰退した農地を有効活用できるという点から、近年では積極的にソーラーシェアリングの導入を呼びかける自治体も増えています。

ソーラーシェアリングをするために必要な手続きは?

ソーラーシェアリングを行うためには、2018年に農林水産省が定めた「支柱を立てて営農を継続する太陽光発電設備等についての農地転用許可制度上の取扱いについて」に基づき、「農地の一時転用許可を得るための申請手続き」が必要となります。
それだけではなく、農地一時転用許可の申請手続きを行う前に、太陽光発電事業を行うための「事業計画認定の申請手続き」および「電力受給契約の申込み手続き」も行っておく必要があります。

また前提として、ソーラーシェアリングを行う場合は営農の継続が必須となっているため、

・営農における単収が同地域の平均単収と比べて減少しないこと
・農作物の品質を著しく落とさないこと


などの条件が求められます。
そのため農地の一時転用許可申請を行う際には、申請書類の他に以下の点が記入された添付資料を提出する必要があります。

営農型太陽光発電設備の設計図
②営農事業計画書
③営農への影響の見込みおよびその根拠を示すデータ

上記に加え、営農開始後は毎年農作物の状況について報告することが求められます。
なお、農地の一時転用許可申請は一回で終わりではなく、3年または10年単位で継続審査を受けることになっています。

もし、一時転用許可申請を出さずにソーラーシェアリングを行った場合は、「3年位以下の懲役または300万円の罰金」が科せられる上に、工事中止および原状回復を命じられることになっています。
さらに、この罰則に従わなかった場合は、「6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」に科せられることになります。

ソーラーシェアリングに必要な費用は?

元々ある屋根にソーラーパネルを設置する住宅用太陽光発電システムとは違い、ソーラーシェアリングの場合は1から支柱や架台を設置する必要があります。
例として50kWのシステムを設置する場合、支柱・架台設置費用やパネル費用などを合わせると、総額は約1,200~2,000万円はかかると言われています。
パネルの性能や設置枚数などによって費用総額は多少変わるため、この点に関しては一度メーカーまたは施工店に相談することをお勧めします。

ソーラーシェアリングに向いた農作物

「農作物を育てるなら太陽光は必須!」と思われがちですが、作物によっては太陽光を浴びすぎるとかえって上手く育たないものもあります。
そのような農作物は、ソーラーシェアリングによって遮光率に配慮したソーラーパネルの設置を行うことで、ソーラーシェアリング前よりも順調に育つ場合があります。

ソーラーシェアリングに向いている農作物は、以下の2種類になります。

・半陰性植物…3~4時間程度の直射日光が必要(イチゴ、ほうれん草、アスパラガス、長ネギなど)
・陰性植物…直射日光を必要としない(みょうが、しそ、クレソン、ニラなど)

上記の中では、みょうがの栽培数が全国的に見て多いことが分かっています。
また野菜に限らず、お茶の葉や常緑樹を育てる農家もあります。

ちなみに一日程度の直射日光が必要な陽性植物(トマトやナスなど)でも、ソーラーパネルによる遮光率を30%以下に抑えれば問題なく育てられるそうです。
しかし、自治体によっては陽性植物を扱う農地にはソーラーパネルの設置許可が下りない場合もあるため、もし陽性植物を育てたいと思ったら事前にしっかり確認しておくようにしましょう。

ソーラーシェアリングを行うメリット

土地の固定資産税が安くなる

もし農地に野立ての太陽光発電システムを設置する場合は、「農地」から「宅地」への農地転用手手続きが必要となります。
しかし、宅地は農地よりも固定資産税が高くなっており、その上税金の軽減措置もないため、システムの導入前には想定していなかった負担が増えてしまうかもしれません。

一方、ソーラーシェアリングでも農地転用は行うものの、あくまで「一時転用」となっており農地であることは変わらないため、その分固定資産税を安く抑えられることができます。
ただし、逆に言えば農地は宅地よりも資産価値が低いということでもあるため、「土地の資産価値を落としたくない」という場合は注意が必要です。

農作業の効率アップにつながる

ソーラーシェアリングを行う場合は農作物への影響を考え、適度に日陰が発生するように間隔を空けてソーラーパネルを設置します。
それにより、たとえ真夏日でも農作物が直射日光に長時間さらされる事態を回避できるため、結果的に農作物のロスを削減し、農作業全体の効率を上げることができます。

それだけでなく、前述した陰性植物や半陰性植物のように作物によっては日が当たり過ぎない方が良く育つため、そういった場合はソーラーシェアリング前よりも収穫量を増やせることもあります。

ソーラーシェアリングを行う上で気を付けること

農業と太陽光発電事業の両立を長期的な目で計画する必要がある

現在、太陽光発電の固定価格買取期間は20年となっています。
これに対し、太陽光発電システムの寿命も約20~30年ほぼ同年数となっているため、野立て発電所の中には、買取期間の終了後に中古に出されるものもあります。

一方、太陽光発電システムと農地がセットになっているソーラーシェアリングの場合、中古として売り出すにはややハードルが高いのが実状です。
そのため、ソーラーシェアリングを導入する際には事前に「農業と太陽光発電事業を20~30年間も両立させられるのか」といった点についてしっかり考えておく必要があります。

金融機関による融資が受けにくいことを把握しておく

農地の一時転用や長期運用におけるプラン立てが必要などといった点から、ソーラーシェアリングは金融機関から「長期的かつ安定的な収入を得るにはリスクが多い」と判断されることがあります。

金融機関の信頼を得て融資を受ける上で重要視されるのは、以下の2点となっています。

・農作物の生産量を十分に確保できていること
・収入の基盤を農業で確立できていること


ソーラーシェアリングを導入するためには、これらの点をクリアしておくことは必要不可欠だと言えるでしょう。

まとめ

今回は、昨今「次世代型発電事業」と呼ばれているソーラーシェアリングに関する基礎的な知識について紹介していきました。
農業を営んでいない場合はあまり馴染みのないソーラーシェアリングですが、当コラムをきっかけに「世の中には様々な再エネ活用法があるんだな」と知る方が一人でも増えれば幸いです。
そしてまさに農業を営んでいるという方は、これを機にソーラーシェアリングの導入について一度検討されてみてはいかがでしょうか。

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