銅の国際価格が過去更新を更新!懸念される太陽光発電事業への影響は?

太陽光発電

導電性、熱伝導性、加工性、抗菌性に優れた銅は金属類の中でも汎用性が高く、私たちの生活・産業インフラを支える重要な役割を担っています。
そして勿論、太陽光発電システムにとっても銅は欠かせない存在です。

そんな銅ですが、このところ価格高騰が続いており、2022年3月には国際価格の過去最高値を更新したことが分かっています。
今回は、近年銅の価格が上がっている理由と、それによって懸念されている太陽光発電事業への影響について解説していきます。

銅が価格高騰している理由

新型コロナウイルス

新型コロナウイルスの感染者が世界的に増加し始めた2020年の初め頃、多くの国ではロックダウンや緊急事態宣言などの措置が取られ、経済活動は停止を余儀なくされました。
その影響により主要な銅鉱山からの供給が滞ったことが、銅価格高騰の理由の一つだと考えられています。
またコロナ禍によってリモートワークが普及し、PCやタブレットなどの電子機器に用いる銅の需要が急激に高まったことも要因です。

何よりコロナ禍は、銅の消費大国である中国の経済に大きな影響を及ぼしました。
新型コロナウイルスの感染拡大以降、中国経済は大きく低迷しましたが、2020年夏頃からは急速に景気回復を見せ始めました。
その回復スピードに対して銅の供給が追い付けなかったことも、銅の価格高騰に響いています。
それにより銅の流通を行う湾港施設の労働者や、銅を保管するコンテナが不足状態に陥ったことも、価格高騰に少なからず影響を及ぼしています。

脱炭素化の推進

世界では今、石炭や石油といった化石燃料に依存しない「脱炭素社会」を実現させる動きが活発化しており、電気自動車(EV)や再エネ発電システムの開発が加速しています。
脱炭素の推進においては、レアアースやレアメタルといった資源が注目されていますが、さまざまな鉱物資源の中でも最も必要性の高い資源は銅だと考えられています。

経済産業省によると、たとえば10GWの洋上風力発電設備を建設する場合、現在の国内需要の約10%に該当する約11万トンの銅が必要になると概算されています。
また100万台のEVを製造する場合、約8万トンの銅が必要になると概算されています。
なおEVの銅使用量は、ガソリン車の約3~4倍に該当します。

いまや「銅は原油に代わる資源となる」という意見も増えており、今後も脱炭素分野における銅のニーズは高まると考えられています。
また、それに伴う蓄電池の普及も、銅の価格高騰に影響を与える可能性があります。

ロシアによるウクライナ侵攻

2022年2月24日にロシアが開始したウクライナ侵攻も、銅の価格高騰に影響を及ぼしています。
現在西側諸国より経済制裁を受けているロシアですが、元々は世界有数のエネルギー大国であるとともに、パラジウム、アルミ、ニッケル、そして銅の生産国でもあります。

しかし2022年3月、アメリカのブリンケン国務長官が「バイデン大統領はロシア産原油の禁輸を同盟国と検討している」と明らかにしたことで、エネルギー価格だけでなく銅価格高騰の懸念が広がり、冒頭で触れた過去最高値の国際価格を更新する結果となりました。
西側諸国はウクライナ侵攻が続く限りは制裁を弱めない姿勢を示しているため、各分野の価格面における影響もしばらくは続くと考えられています。

銅の価格高騰が太陽光発電事業に及ぼす影響

銅の価格高騰は、太陽光発電分野にも影響を及ぼします。
その中でも最も懸念されているのが、「銅線ケーブルの盗難」です。
新型コロナウイルスの感染拡大以降は、日本各地で盗難事件が多発しています。

2020年12月には、京都市精華町のソーラーパネル設置現場から銅線など4点(計104万円相当)が盗難されていることが発覚し、2021年4月には電気設備業の男が逮捕されています。
また、栃木県では2021年1月から11月末までの間に628件の銅盗難が発生したことが分かっています。

さらに2022年4月4日には、群馬県太田市の「おおた発電所」が、長さ約2400m、重さ約7トンの銅線ケーブル(計1300万円相当)が盗難に遭ったことを発表しました。
この盗難により、おおた発電所の発電量は従来の6分の1程度にまで減少してしまい、復旧の目処も立っていません。
2022年2月9日には、福島県福島市内の発電所でも同様に1300万円相当の銅線が盗まれています。

窃盗者の細かい動機は不明ですが、多くの場合は価格高騰のタイミングにかこつけて、盗んだ銅線ケーブルを高額で転売するのが狙いだと考えられています。
これ以上被害を出さないためには、地域の管理はもちろんですが、事業者自身も対策する必要がありそうです。

住宅用太陽光発電システムが銅盗難に遭うリスク

前提として、銅線ケーブルの盗難が発生するのは産業用の野立てシステムである場合が大半となっています。
主な理由としては、以下の2点があります。

・住宅用に比べて圧倒的に銅線ケーブルの量が多い
・産業用システムは基本的に人通りの少ない場所に設置されている


これらのことから、野立てよりも発電容量が少なく、かつ住宅街にあり人目につきやすい住宅用システムから銅線ケーブルが盗まれることは、確率的には低いと言えるでしょう。

とはいえ、場合によっては盗難リスクが生じる可能性もゼロではありません。
盗難リスクが比較的高くなる条件は、以下の2点です。

・住宅用システムにしては高い発電容量を有している
・人通りの少ない郊外に設置している


上記のいずれかに当てはまるシステムをお持ちの方は、少なからず盗難のリスクがあることを把握しておいた上で、可能な限り対策を取ることをお勧めします。
具体的な対策方法については、次の項目で解説していきます。

自分でできる銅線ケーブル盗難対策

監視カメラ・警報器の設置

近年では、さまざまなメーカーが住宅に設置できる監視カメラや警報器を販売しています。
家電量販店やホームセンターはもちろん、通販サイトからも手軽に購入することができます。

監視カメラ、警報器ともに価格帯は3000円~9万円程度と幅広く展開されていますが、より高い安心を求めるのであれば、比較的高価でも高性能な製品を選んだ方が得策です。
仮に現在販売されている中で最も高価なモデルを購入したとしても、銅線ケーブルが盗難に遭った際に被る損失よりは少額だと言えるでしょう。

近隣住民とのコミュニケーション

近隣住民の方と日頃から最低限でもコミュニケーションを取っておけば、いざという時に「最近この辺りで不審者目撃情報があるから気を付けて」などといった情報を教えてもらえる可能性が高くなります。

昨今ではコロナ禍ということもあり、他人と交流自体難しくなってしまった側面もありますが、「近所に信頼できる人がいる」ということの安心感はなかなか侮れないものがあります。
もし「近所の人と一切関わりが無い」という場合は、まずは挨拶などから始めてみてはいかがでしょうか。
とはいえ、近隣の方が必ずしも協力的とは限らず、そもそも「人付き合いが苦手」という方もいるので、くれぐれも無理はしないようにしましょう。

こまめな点検

太陽光発電システムには基本的に定期メンテナンスが義務付けられていますが、可能であればその時期以外にも点検を行うことをお勧めします。
もしかしたら点検することで、気付かない間に発生していた盗難に気付けるかもしれません。

まとめ

今回は、銅の価格高騰に伴う太陽光発電システムの銅線ケーブル盗難リスクについて解説しました。
もしも盗難被害に遭ってしまったら、まず警察に通報するのはもちろんですが、余裕があればその次に設置しているシステムのメーカー、または設置を依頼した販売・施工店にも一度相談することをお勧めします。
メーカーによっては盗難された部品分の費用を保証するサポートも行っているため、万が一盗難に遭っても、まずは落ち込む前に上記2か所のどちらかに問い合わせると良いでしょう。

なお、当社は長年太陽光発電システムの販売・施工を扱っている実績があります。
「もし銅線ケーブルを盗まれたらどうしよう…」と不安な方や、「まさに最近盗まれた!」とお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

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