【最新版】SDGs達成度ランキング!各国の取り組み状況&日本の順位は?

SDGs

2030年の達成に向けた世界共通の持続可能な17の開発目標、通称「SDGs」が2016年に採択されてから、今年で約7年が経ちました。
まさに目標達成年までの折り返し地点を迎えようとしている今、世界各国ではますますSDGsに力を入れる動きが広がっています。
一方で年月が経つにつれ、各国のSDGs達成状況の差も浮き彫りになっているのが現状です。

そこで今回は、最新のSDGs達成度ランキングをチェックしながら、各国そして日本の取り組み内容と今後の課題について考えていきたいと思います。

SDGs達成度ランキングTOP 10は?

2022年6月2日に公開された最新のSustainable Development Report 2022(持続可能な開発レポート2022)によると、SDGs達成度ランキング上位10カ国は次の通りです。

1位:フィンランド
2位:デンマーク
3位:スウェーデン
4位:ノルウェー
5位:オーストラリア
6位:ドイツ
7位:フランス
8位:スイス
9位:アイルランド
10位:エストニア

1位のフィンランドをはじめ、北欧の国々が軒並みランクインしているのが印象的ですね。
また、バルト三国のうち最も北欧に近いエストニアが10位にランクインしているのも興味深い点です。

SDGs達成度ランキング上位国の取り組み事例

フィンランド

「ムーミン」の作者であるトーベ・ヤンソンの生まれ育った国として、また映画「かもめ食堂」の舞台として知られているフィンランド。
そんなフィンランドは、「目標3:すべての人に健康と福祉を」と「目標5:ジェンダー平等を実現しよう」の2つにおいて、世界トップを担っている存在と言っても過言ではありません。

まず福祉ですが、フィンランドは北欧の中でも特に公的福祉制度が充実しています。
具体例には、次のような社会サービスがあります。

・妊娠から就学前にかけて、出産・育児を包括的にサポートする無料の支援制度「ネウボラ」
・高齢者の介護をする親族者に給付金や休暇を支給する「親族介護支援法」

この他にも、障碍者の就労支援、住宅家賃補助、失業時の保障、充実した育児休暇などが用意されています。
また、フィンランドではプレスクール(就学前教育施設)から大学院に至るまで、学費だけでなく教材費や給食費すべてが無償となっています。
この取り組みは、「目標4:質の高い教育をみんなに」の達成にも貢献していると言えるでしょう。

次にジェンダー平等ですが、実はフィンランドは1980年代から、世界に先駆けてジェンダー問題に取り組んできた歴史があります。
長い取り組みの結果、2003年には「ジェンダー平等のための行動計画2004-2007」が発表され、2017年には同性婚が合法化されました。
そして2019年には、当時34歳のサンナ・マリン氏が女性としては世界最年少で首相に就任しました。
若い女性を国のトップに選んだフィンランドの政治は、ジェンダー平等の実現を目指す国々のロールモデルとなっています。

参考:充実した公的福祉制度(ヘルシンキ事務所)
参考:フィンランドの子育て支援(フィンランド大使館)

デンマーク

童話作家のアンデルセンが生まれ育った国として知られているデンマークでは、SDGsの17の目標すべての達成を目指す「UN17 Village」というプロジェクトが進んでいます。
これは、廃棄される予定だったコンクリート、木材、ガラスなどといった「アップサイクル資源」を使って、広さ約35,000平方メートルのエコ・ビレッジを作ろうというプロジェクトです。

エコ・ビレッジには住宅、ワーキングスペース、ゲストハウスが作られ、それぞれの屋根にはソーラーパネルを設置する予定です。
その他、雨水を利用したコインランドリーや、地域の生物多様性を守るための屋上庭園なども作られる予定です。
エコ・ビレッジは、早ければ2023年には完成するとのことです。

また、デンマークは食品ロスの削減にも熱心に取り組んでいます。
例えば、2016年にデンマークでオープンした世界初の食品ロス専門スーパー「Wefood」では、賞味期限間近だったり形が悪かったりなどの理由で廃棄される予定だった食品を、通常より30~50%安い価格で販売しています。
これらの食品を販売して得た収益は、飢餓に苦しむ貧困国への支援に使われるとのことです。

こうした食品ロス対策は、「目標2:飢餓をゼロに」や「目標12:つくる責任 つかう責任」などの達成に貢献しています。

参考:UN17 Village by NREP
参考:世界初!? 期限切れ食品を扱うデンマークのスーパーが話題に(TABILABO)

スウェーデン

最新ランキングでは3位だったものの、過去には5回1位の座についたことがあるスウェーデン。
そんなスウェーデンは、ゴミ問題の解決に積極的に取り組んでいることで知られています。
スウェーデンでは、ゴミはなんと100種類近く分別されており、そのうち99%はエネルギー資源としてリサイクルされています。

日本の感覚だと「100種類にも分別しなきゃいけないの!?」と正直思ってしまいますが、スウェーデンでは分別しやすいようにデポジット制(容器を返すと預り金が戻ってくる制度)を導入しているため、ほとんどの国民はきちんと分別しているそうです。
何より、スウェーデンの義務教育では循環型経済やエコシステムに学ぶ機会が設けられているため、子供の頃から高い環境意識を持った人が多いと言われています。

また、スウェーデン発の有名企業と言えば日本でも人気の高い「IKEA(イケア)」があります。
IKEAは、全照明製品を省エネ率の高いLEDに切り替える、サステナブルな仕入れ先から調達した綿や木材を使用するなど、スウェーデンの企業らしい取り組みを実施しています。

スウェーデンのこれらの取り組みは、「目標7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」や「目標13:気候変動に具体的な対策を」などの達成に貢献しています。
またフィンランドと同様に、ジェンダー問題や福祉に関しても積極的に取り組んでいます。

参考:IKEA
参考:スウェーデンがサステナブル先進国である理由(Bene)

ドイツ

ビールとソーセージのイメージの強いドイツですが、実は1960年代と早い段階から環境政策に取り組んでいる国でもあります。
中でもとりわけ力を入れているのが、「屋上緑化運動」と「リサイクル」です。

まず屋上緑化運動ですが、ドイツでは1975年に屋上緑化に関するガイドライン「FLL」が策定されています。
1983~90年代には緑化に対する助成金も交付されるようになり、現在ドイツでは毎年1000万㎡ずつ屋上緑化面積が増えていると言われています。
次にリサイクルですが、ドイツはスウェーデンと同様ゴミの分別にデポジット制を導入しており、これによって高いリサイクル率を実現しています。

また、世界でもトップクラスの「環境首都」と言われるドイツ南西の都市フライブルクは、先進的かつ大胆な環境政策を実施していることで知られています。
例えば、フライブルクは旧市街への自動車の乗り入れを規制し、代わりに自転車、徒歩、公共交通機関の使用を促す政策を取っています。
この取り組みには排気ガス削減だけでなく、昔の街並みを保護する目的が込められています。
その他、商業施設やオフィスにソーラーパネルを設置する、池や森を保護して子供たちの自然教育の場にするなど、市全体を挙げて環境保護に取り組んでいます。

ドイツによるこれらの取り組みは、「目標11:住み続けられるまちづくりを」や「目標12:つくる責任 つかう責任」などの達成に貢献しています。

参考:ドイツの緑化事情(大日化成株式会社)
参考:世界のエコタウン フライブルク(パナソニック)

日本の順位と達成状況

2020年度は17位、2021年度は18位だった日本ですが、最新のランキングでは19位とさらにランクダウンしてしまいました。
かろうじて上位20カ国にはランクインしていることから、比較的SDGsに積極的であるように思えますが、それでも日本におけるSDGsの達成状況にはまだまだ課題が残っています。

持続可能な開発レポート2022によると、日本はジェンダー平等やパートナーシップの実現、海や森林の保護、気候変動、クリーンエネルギーなどにおいて「主要または重要な課題が残っている」と評価されています。
この評価の通り、日本では同性婚が合法化しなかったり女性の管理職が増えなかったりと、なかなかジェンダーギャップが解消しないのが現状です。
また、積極的に取り組んでいるように思える海や森林の保護も、まだまだ十分でないことが判明しています。

しかし一方で、教育面、技術革新、平和と公正の実現などにおいては高く評価されています。
この結果を踏まえ、今後はすべての分野においてバランスよく取り組んでいくことを期待したいですね。

まとめ

今回は、最新のSDGs達成度ランキングと日本の達成状況について解説しました。
SDGsが目標達成年として設定している2030年まで、残すところあと8年。
目標達成に向けた各国の取り組みからは、ますます目が離せません。

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