EVをガソリンで充電、エコバッグ大量買い…エコなようでエコじゃない取り組み

エコな取り組み

近年では、世界的に脱炭素社会実現の重要性が叫ばれるようになり、日本でも「2050年までに100%脱炭素化」という目標が掲げられています。
しかし先日、脱炭素先進国が多数集まるヨーロッパにおいて、現在ガソリン発電式のEV(電気自動車)充電システムが流行っているというニュースが報じられました。
ガソリン自動車の使用を削減するためのEV普及にもかかわらず充電システムにガソリンを使用するというのは、まさに本末転倒だと言えます。

このように、世の中ではエコに向けた気運が高まる一方で、「それって本当にエコなの?」と疑ってしまうような取り組みも増えつつあるのが現状です。
しかし、いくら表面上だけ環境への配慮を取り繕っていても、本質的に環境改善に貢献していなければ脱炭素化を実現するのは夢のまた夢でしょう。
また、正しい取り組み方をすれば確実なエコ効果が出るにもかかわらず、誤った取り組み方によってかえって環境に負荷をかけてしまう…といったケースもあります。

今回は冒頭で挙げたEV充電システムのような「それって本当にエコなの?」と疑問に思ってしまうケースを掘り下げながら、「本当にエコな取り組みとは何か」について考えていきましょう。

「持続可能なパーム油」は存在しない!

まずは、環境保全活動に潜む嘘に切り込んだ2020年のドキュメンタリー映画『グリーン・ライ~エコの嘘~』でも取り上げられていた「持続可能なパーム油」について紹介します。
ある日スーパーで「持続可能な」と表示されたパーム油入りの商品を発見した監督は、「果たして本当に持続可能なパーム油なんてあるのか」を確かめるべく、専門家と共に世界一のパーム油生産国であるインドネシアに向かいます。
そこで彼らが目にしたものは、パーム油を大量生産するために真っ黒に焼き払われた大地の姿でした。
後にパーム油農園となるその大地は、元々は豊かな緑に恵まれ多様な生物が息づく熱帯雨林だったのです。

パーム油は世界各国で加工品づくりに使われており、日本でも年間約70万トンが消費されています。
インスタント麺やスナック菓子などの食品から、石鹸や洗剤などの非食品まで様々なものに使用されているため、私たちの生活を支えている重要な存在であることは否定できません。
しかし、その裏では広大な熱帯雨林が焼き払われていることもまた事実です。
それを隠して「持続可能なパーム油を使用している」と商品に加工することは、サステナブルを意識した買い物を心掛けている消費者を裏切る行為だと言っても過言ではないでしょう。

「エコバッグの大量買い」は意味なし!

世界的に深刻化している海洋プラスチック問題を受け、日本では2020年7月にレジ袋有料化がスタートして以降、エコバッグを持参する人が急増しました。
それ自体は良いことなのですが、中には「安売りしているエコバッグを何個も買っている」という方もいるのではないでしょうか。
しかし、例えば100~200円程度の安価なエコバッグは、大抵の場合石油が原料に使われているポリエステル製となっています。
つまり、そのエコバッグを製造して販売するまでには、少なからず石油由来のCO2が排出されているのです。

また、安価なエコバッグは作りも値段相応であるため、数回使っただけで破れたり、ほつれたりしてしまう場合がほとんどです。
何度も安いエコバッグを買って破れる度にまた新しいエコバッグを買うというのは、まさに本末転倒なエコ活動だと言えるでしょう。

「エコバッグを使えば環境に優しい」のではなく、何よりも重視すべきなのは「なるべくゴミを出さないこと」です。
「隅々まで環境に配慮したエコバッグを使いたい」と思った場合は、値段だけではなく素材もしっかりチェックした上で丈夫なものを選び、できるだけ長く使い続けることが大切です。
近頃はリサイクル素材を使用したエコバッグも販売されているため、気になる方は是非一度調べてみてはいかがでしょうか。

便利家電の導入で電気使用量が増加?

食洗機やロボット型掃除機など、近年では様々な時短家電が登場していますが、実はここにも思わぬ落とし穴があります。
「時短家電を使えば人間がやるより早く家事が終わるから省エネだよね?」と思うかもしれませんが、むしろ時短家電を導入することによって、かえって電気使用量が増えてしまう場合があるのです。

例えばロボット型掃除機を家庭に導入した場合、これまでのように人の手で掃除する必要が無くなるため掃除時間自体は大幅に短縮されます。
しかし、それによって新たに生まれた空き時間でテレビを観たりゲームをした場合、今までは使用することのなかった分の電気を消費することになります。
これは、ロボット型掃除機を導入しなければ起こりえなかったことです。
このように時短技術が進むことによってエネルギー使用量が増えてしまう現象は、エネルギー経済学の分野では「時間リバウンド効果」と呼ばれています。

とはいえ普段から家事や育児に追われている方にとっては、やっぱり時短家電は重宝すべき存在ですよね。
その場合、例えば「食洗機やロボット型掃除機の稼働中は読書タイムにしよう」といったようになるべく電気を使わず過ごすよう心掛ければ、時短と電気使用量削減の両方を実現することができます。
常にインターネットが身近にある現代だからこそ、電気を使わない時間を確保することは心身のリラックスにもなるかもしれませんよ。

複雑なゴミの分別はかえって分別する人を減らすおそれあり?

ゴミの分別方法は国や地域によって異なり、例えばイタリアのヴェネツィアでは、紙ゴミ、不燃ゴミ、ガラス、プラスチック、缶を分別するためのステッカーが用意されています。
ヴェネツィアではゴミは基本再生紙で作られた紙袋に入れて捨てるよう定められていますが、紙ゴミと不燃ゴミを出す曜日が同じとなっているため、ゴミ収集業者が見てすぐ分かるようにステッカーを貼って出すそうです。
しかし、せっかく再生紙を使っていても、ステッカーの製造や印刷に使われるエネルギーや運搬による排気ガスやなど考えると、「結局エコじゃないのでは?」という声も少なからず上がっているのが実状です。

日本でもゴミの分別を促しているようで、かえってややこしい分別方法を指定している地域というのは少なくありません。
あまりに複雑な捨て方を指定されると、捨てる側は分別すること自体億劫になってしまう可能性があります。
これに関しては、なるべく簡潔かつ適切な分別方法が今以上に全国的に普及することを期待したいですね。

まとめ

今回は、「それって本当にエコなの?」と問いたくなるようなケースについて紹介していきました。
気候変動、海洋汚染、森林破壊など、環境問題は非常に多岐に渡っているため、一概に「こうすればすべて解決する」といった方法はありません。
また、環境保全活動には各国の経済事情などが複雑に絡んでいるため、残念ながら本当に地球環境の改善を願って活動している企業ばかりではないのが現実です。

それでも、私たち一人一人が「本当に環境にとって最善な選択」とは何かをしっかり考えて選んでいけば、いかなる環境問題も解決に向かわせることができるはずです。
当コラムが、現在世の中に溢れているあらゆるエコな取り組みに対する関心や疑問を持つきっかけになれば幸いです。

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