「単結晶」と「多結晶」の違いとは?シリコン系太陽電池を徹底比較!

太陽光発電

太陽光発電システムを扱うメーカーのカタログやHPをチェックしていると、製品紹介欄に「単結晶」または「多結晶」と書かれていることに気づきませんか?
ついつい読み流してしまいがちな箇所ですが、ちょっと待ってください!
実はこの点について少しでも理解しておけば、ソーラーパネルの選択肢を一気に広げることが可能となるのです。

今回は、単結晶や多結晶をはじめとした太陽電池の種類について学び、それぞれが持つ特徴を分かりやすく掘り下げていきたいと思います。

まずは「太陽電池」が何かを知ろう

すべてのソーラーパネルの中には、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する上で必要な 「半導体」としての役目を担う、「太陽電池」が埋め込まれています。
そして、その太陽電池を構成する最小単位のことを「セル」と言います。
このセルがいくつも組み合わさることでソーラーパネルは成り立ち、発電を行うことができます。
太陽電池はまさに、太陽光発電システムにおいて最も基礎的かつ重要なパーツということが分かりますね。

太陽電池の主な原材料

太陽電池は現在、実用化されているだけでも数十種類あると言われていますが、元を辿れば基本的な原材料は3種類に分けることができます。
以下が、その大分類になります。

・シリコン系
・化合物系
・有機系

上記のうち、最も広く一般的に流通しているのがシリコン系です。
シリコンは別名「ケイ素」と呼ばれる物質で、ケイ酸質を含んだ鉱物または岩石を地中深くから掘り出して作られます。
そこからさらに異なる方法で加工、製造されたものが、単結晶シリコンや多結晶シリコンになります。
それぞれの特徴については、次項から見ていきましょう。

単結晶シリコンの特徴

単結晶シリコン(以下、単結晶)は数ある太陽電池の中で最も古く、また日本において最も普及している太陽電池の種類です。
名前の通り単一のシリコンの塊から作られるのですが、その純度の高さと製造工程の複雑さから、販売価格は多結晶のものに比べるとやや高価です。

しかしその分、シリコンの持つ力を最大限活用して光を電気に変換するため、約16~18%という高い効率で発電を行うことが可能となっています。
また単結晶を使用したソーラーパネルは、見た目にムラがなく美しいという点も、安定した人気を誇る理由の1つになっています。

多結晶シリコンの特徴

多結晶シリコン(以下、多結晶)は単結晶の製造時に発生した端材や不良品を集めて製造されたものです。
あくまでも「再利用」と「製造コストの軽減」を目的として作られたため、純度の高いシリコンを丸々使用した単結晶に比べると、発電効率は2、3%ほど下がってしまいます。
また、ツギハギの様にシリコンの欠片を組み合わせて作るため、見映えも単結晶よりはやや劣ってしまいます。

とはいえその分価格もリーズナブルとなっており、産業用にパネルの大量設置が必要になった場合などには、重宝される存在となっています。

その他のシリコン系太陽電池

単結晶と多結晶の他にも、シリコン系の太陽電池はいくつか存在しています。
その中の1つは、「アモルファスシリコン」です。
単結晶や多結晶が規則的な原子配列をしているのに対し、「無定形状態」の意味を持つアモルファスシリコンは、その名の通り一見ランダムな原子配列をしています。
その特殊な配列ゆえに、弱い光でも比較的吸収しやすいという特徴があります。
また薄膜化も可能なため、屋根に設置した際の見た目がスマートな点も魅力の1つです。

もう1つは、「HIT(ヘテロ接合)太陽電池」です。
HIT太陽電池は結晶シリコンとアモルファスシリコンを結合して作られており、その発電効率の高さは単結晶以上だと言われています。
大手メーカーであるパナソニックはこのHITシリコンにいち早く目を付け、高温下や曇天時にも安定した発電量を確保できる「HITシリーズ」を開発し、発売以降高い支持を得ています。

そして最後の1つは、「微結晶シリコン」です。
微結晶シリコンは、多結晶よりもさらに微細な結晶の欠片から製造されます。
アモルファスシリコンによく似た性質を持っており、こちらも薄膜化が可能です。

以上が主なシリコン系太陽電池です。
現時点では、まだまだ単結晶と多結晶が二強と言われていますが、他の種類もそれぞれ魅力的な特性があることが分かりますね。
今後さらに研究が続けば、より安価で高性能な太陽電池が出てくる可能性も決してゼロではないでしょう。

「この場合、どの太陽電池を選ぶべき?」お悩みパターン別にチェック!

ここまでシリコン太陽電池の種類やそれぞれの特徴を見てまいりましたが、「それぞれ違った良さがありそうで、むしろ選ぶのがより難しくなった…」と思ってしまった方もいるかもしれません。

しかし、太陽電池に限らずどの製品にも言えることですが、何かを選ぶ際に大切なのは、最優先事項を明確にしておくことです。
「その最優先事項が分からないんだけど!」という方のために、この章ではありがちなお悩みパターン別に、どの太陽電池を選ぶべきかをチェックしていきたいと思います。

お悩みパターン➀ソーラーパネルの設置スペースがない!

「屋根が狭いからソーラーパネルを沢山設置できないし、それだと少ししか発電できないんでしょ?」
太陽光発電システムの設置に踏み切れない理由として、上記のように言われる方は少なくありません。

しかし近年では、少ない枚数でも十分発電量を稼げるソーラーパネルが多く登場しています。
そしてそのような製品は通常、単結晶またはHIT太陽電池から作られている場合が多いです。

たとえば東芝やカナディアンソーラーなどの大手メーカーは、基本的に単結晶パネルを取り扱っている場合が多く、またHITパネルは前述したようにパナソニックが主に取り扱っています。
それぞれの製品が気になる場合は、各メーカーのカタログやHPを一度チェックしてみると良いかもしれません。

お悩みパターン②とにかく初期費用を削りたい!

太陽光発電システムを設置するためには、ソーラーパネル代、パワコンなどの周辺機器代、施工代…など様々な費用が発生し、そのすべてを計算すると、初期費用は約150~300万円程度になると言われています。
この金額を見て分かる通り、太陽光発電システムの初期費用は決して安いとは言えないため、「なるべくコストカットしたい!」と思うのは至極当然でしょう。

初期費用の削減を最重要視する場合、数年前までは多結晶パネルを一番にお勧めしていましたが、実は年々、単結晶パネルも低価格化が進んでおり、価格にそこまで大きな差があるとは言えなくなってきました。
そのため、もし「費用を削りたい、でも発電効率は高い方が良い…ああもう決められない!」とお悩みの場合は、一度メーカーまたは施工店に問い合わせ、相談してみることをお勧めいたします。
もちろん、当社へのお問い合わせも大歓迎です。

まとめ

太陽電池の種類やそれぞれの特徴などについて、少しでもご理解いただけましたでしょうか?
今回のテーマは若干専門的な要素が強かったため、すべての内容を完璧に把握するには、少々ハードルが高いと感じたかもしれません。
しかし、大まかにでも単結晶と多結晶の違いなどを理解しておけば、ソーラーパネルを選ぶ際の1つの基準として大いに役立ってくれることでしょう。
化合物系や有機系のソーラーパネルについては、また別の機会にお話しできればと思います。

これから太陽光発電システムを導入したいとお考え中の方、また今まさにソーラーパネル選びにお悩み中の方にとって、当記事が少しでも参考になれば幸いです。

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