「エコツーリズム」って一体何?概要から実際の取り組み事例までを徹底チェック!

エコな取り組み

ここ十数年で耳にする機会の増えた「エコツーリズム」という言葉ですが、「聞いたことはあっても意味はよく知らない…」という人が実際には多いのではないでしょうか。

地域や立場によってエコツーリズムの定義には若干違いがありますが、その上で簡潔に説明すると、エコツーリズムとは「その国や地域に昔から根付いている自然環境、習慣、文化などを観光しつつ、環境保護の大切さについて考える旅行の在り方」を指しています。
エコツーリズムは国内からの観光客はもちろん海外から訪れる観光客向けにも実施され、もちろん日本に限らず海外でも取り入れられていますが、その具体的な内容や実施することで生まれる効果には一体どんなものがあるのでしょう。

そこで今回はエコツーリズム発祥の歴史から、実際にエコツーリズムを行っている国や地域、またその内容についてチェックしていきたいと思います。
まだまだ新型コロナの勢いは収まらず遠出もしにくい世の中ですが、当コラムがコロナ収束後の旅行の仕方の参考になれば幸いです。

エコツーリズムの歴史を辿ろう

エコツーリズム誕生のきっかけ

1960年代以降、発展途上国では人々の環境保護意識の向上を促しながら経済発展も実現させる方法として、観光客に森林などの豊かな自然を紹介する方法を検討し始めました。
そしてちょうど同じ頃、人々の生活が豊かになったことで安定期を迎えた先進国の観光業界は、めぼしい観光スポットには殆ど行き尽くした人々の興味を惹きつけるような、新たな観光資源を模索していました。
このような流れの他に、当時はマスツーリズム(※)による環境破壊が問題視され始めていたこともあったため、次第に環境保護に重きを置いた観光スタイルが世界各地で注目されるようになります。

その後、1972年に開催された「国連人間環境会議」において「環境問題は人類全員にとっての課題であり、国際的に取り組む必要がある」という世界共通認識が生まれたことをきっかけに、1980年代以降は国家を挙げたプロジェクトとして、発展途上国を中心にエコツーリズムが実施されるようになりました。

※マスツーリズム…それまでは富裕層が主体だった観光旅行が、第二次世界大戦終戦後の経済発展を機に一気に拡大し、大衆化した現象のこと。
日本では1970年に開催された大阪万博以降マスツーリズムが進んだ。

日本におけるエコツーリズムの歴史

日本では、1990年頃から屋久島などの自然豊かな観光スポットを中心に、民間企業が主体となったエコツーリズムが普及し始めます。
1991年に当時の環境庁がエコツーリズムに関する調査を行って以降はさらに実施数が増え、エコツーリズム推進のための民間団体の設立が相次ぎました。
このような動きを受け、2003~2004年には環境省が主導となって積極的なエコツーリズムの推進活動が行われました。

そして2007年6月には「エコツーリズム推進法」が成立し、翌2008年4月には施行がスタートしました。

日本のエコツーリズムにはどんなタイプがある?

屋久島・縄文杉

一口にエコツーリズムと言っても、地域の特性によってその取り組み方は様々です。
そこで、この章では日本における多種多様なエコツーリズムを、大きく3つのタイプに分けて紹介していきます。

「手つかずの大自然を感じよう」タイプ

鹿児島県の屋久島、北海道の知床半島、青森県の白神山地などの地域では、いわゆる「手つかずの大自然」を満喫するタイプのエコツーリズムが実施されています。
「原生林や野生動物の観察」や「流氷ウォーク」といったような、雄大な自然を全身で体感できるツアーが多く組まれる点が特徴です。

「人気観光スポットの自然を掘り下げてみよう」タイプ

富士山や佐世保などの観光客が多く訪れる地域の自然を、「一度ゆっくり観察してみよう」という趣旨のもと実施されるエコツーリズムです。
富士山周辺では「青木ヶ原樹海やコウモリ穴を巡るツアー」、佐世保では「九十九島の文化や歴史を学ぶツアー」が長年人気だそうです。

「身近な自然や文化に触れよう」タイプ

自然と都会の間に位置する、いわゆる「里地里山」と呼ばれる地域における「自然と人の共存」に触れられるエコツーリズムです。
主に埼玉県の飯能市や静岡県の湖西市などが、このタイプのエコツーリズムを実施しています。
これらの地域が行っている特徴的なツアーとしては、「湧き水のある暮らし体験」や「冬野菜の収穫体験」などが挙げられます。

海外のエコツーリズムもチェックしよう!

ガラパゴス諸島

前章では日本におけるエコツーリズムについて紹介しましたが、もちろん日本のみならず海外の様々な国でもエコツーリズムは実施されています。
とはいえ全ての国の取り組みをチェックするのは難しいため、ここでは海外におけるエコツーリズムの中でも代表的な地域や取り組み例に絞って紹介していきたいと思います。

ガラパゴス諸島

世界有数の野生動物観察スポットとして有名なガラパゴス諸島ですが、その人気ゆえに増加した観光客が環境破壊に与える影響を懸念し、「国立公園のツアーは全て許可制にする」、「ツアーには公認ガイドを必ず同行させる」など徹底したエコツーリズムの管理を行っています。

コスタリカ

国土の4分の1が自然保護区あるいは国立公園に指定されている中央アメリカの国コスタリカでは、世界的に見てもエコツーリズムの推進活動がさかんとなっています。
その結果、コスタリカにおける観光収入はGDP(国内総生産)のうち8%近くを占めるまでになりました。

南部アフリカ5ヵ国

ジンバブエ、ナミビア、ザンビア、ボツワナ、アンゴラの南部アフリカ5か国は、「野生動物を保護しエコツーリズムを推進する」という共通目的のもと一体となり、2011年には5か国をまたぐ広大な自然保護区である「カバンゴ ザンベジ国際保護区(通称KAZA)」を設立しています。

エコツーリズムの問題点&課題

世界各国で推進されているエコツーリズムですが、決して問題点や課題が全く無い訳ではありません。
その中でも解決すべき課題とされている2点を、この章では紹介していきます。

環境保護と観光振興のバランス取りが難しい

エコツーリズムのそもそもの目的である「環境保護と観光振興の両立」ですが、丁度良いバランスを取るのはやはり中々難しい部分もあるようです。

もし自然保護を優先するあまり観光のルールを厳しく定めたり、ツアーに参加できる人数枠を制限し過ぎてしまうと、観光振興においては苦戦を強いられる場合があります。
反対に観光振興を優先した場合、安全に観光スポットを楽しむためには多かれ少なかれ道の舗装が必要となりますが、そうなるとそもそも存在している自然の形を壊すことになり、これでは本末転倒となってしまいます。
この2つを「どうバランス良く両立させるか」という点こそが、エコツーリズムにおける長年の課題だと言えるでしょう。

エコツアーガイドの確保が難しい

エコツアーを行うためにはその地域の自然や文化に関する十分な知識と、何より「この場所の自然を守りたい!」という強い気持ちを持っているガイドが必要になります。
しかし、そのような質の高いガイドを確保することは中々難しく、いたとしても既に高齢である場合が多いため、遠からずまた新たなガイドを探すことになります。
そのため近年では次世代を担うエコツアーガイドの確保および育成も、エコツーリズムを進める上で重要な課題となっています。

コロナ以降はエコツーリズムが観光の主流に?

新型コロナ発生以降の世の中では、旅行に対する人々の価値観も大きく変わっていくだろうと予想されています。
日本に限った話をすると、コロナ以前はインバウンドに力を入れるあまり、京都などの人気観光地において度々「オーバーツーリズム」(※)が発生し問題視されていました。
そのため、今後新型コロナが収束し少しずつ以前のように観光業界が回るようになった暁には、観光客数を規制して自然環境を守る「サスティナブルツーリズム(持続可能な観光の在り方)」を実現させる必要があると言われています。

また、たとえ新型コロナが落ち着いたとしても、人々の傾向としてしばらくの間は密集地を避けて旅行先を選ぶと考えられているため、今後は「都会の中の観光スポット」よりも「広大な自然」を楽しむエコツーリズムの需要の方が高まるのではないかと予想されています。

※オーバーツーリズム…その観光地が持つキャパシティ以上の観光客が押し寄せ、その土地に根付いている文化や自然のバランスが崩れてしまうこと。

まとめ

今回は、エコツーリズムの概要と今後の課題などについてチェックしていきました。
新型コロナ以降の観光の在り方について様々な議論が交わされる中、エコツーリズムは一体どのような立ち位置になっていくのか、引き続き注目していきたいですね。

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